家庭医学館 「伝染性紅斑」の解説
でんせんせいこうはんりんごびょう【伝染性紅斑(りんご病) Erythema Infectiosum】
パルボウイルスの感染でおこる病気で、頬(ほお)がリンゴのように赤くなるので、俗にりんご病とも呼ばれます。
終生免疫(めんえき)ができるので、一度かかれば生涯かかることはありません。
●かかりやすい年齢
3~12歳の子どもに多い傾向があります。
●流行する季節
季節性はとくにありません。7~8年周期で流行し、このときには、家族内発生や小学校での小流行がみられます。
[症状]
7~16日の潜伏期を経て、特有な発疹(ほっしん)が現われます。
発疹は、顔から始まり、前腕(ぜんわん)、大腿部(だいたいぶ)、臀部(でんぶ)に現われ、胸、腹、背中にはあまり現われません。
部位により発疹の形状がちがいます。
顔の発疹は、両頬がリンゴのように一面に赤くなります。前腕や大腿部の発疹は、初めは斑点状(はんてんじょう)ですが、まもなく一円硬貨くらいの大小の円形の集まりとなり、この発疹の周辺部は、堤防状に隆起し、中心部は色が淡く環状にみえ、全体としてはレース編み状にみえます。
発疹は、現われて3~4日目がもっとも著明で、かゆみ、ほてった感じなどがしますが、暖めたり、日光が当たったり、泣いたりすると、再び明瞭(めいりょう)になります。これが、この病気の発疹の特徴です。
熱は出ないことが多く、熱が出ても病初の1~2日間、37.5度くらいです。そのほかの症状もないことが多いのですが、ときに、せき、頭痛、のどの痛み、関節痛などが出ることもあります。
[治療]
発疹のかゆみが強ければかゆみ止めを塗る程度で、特別な治療は必要ありません。
●家庭看護のポイント
本人は元気なので、病人扱いする必要はありません。しかし、日光に当たったり、摩擦(まさつ)したりすると、消えかかった発疹がぶり返してきますから注意しましょう。
[予防]
発病してからはうつりません。病人が感染源となるのは発病前の潜伏期間中(症状がまだ現われない時期)ですから入院による感染防止は不可能です。また軽い病気ですからとくに予防対策は行なわれていません。