出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
中国絵画における肖像画の本質をいう用語。東晋の顧愷之(こがいし)の〈論画〉にみられ,人物画の模写を論じて,形をもって神を写すとき,実対すなわち実際にその人物と向きあっているという感じを失うと生をとらえることができず,伝神もうまくゆかぬ,実対し通神することが人物画の要諦だという。伝神とは写実によってその人物の形姿のみならず精神までもとらえることである。《歴代名画記》は,〈伝神写照はまさに阿堵(あと)(そのところ,つまり瞳)の中に在り,伝神を実現するには眼の表現が一番大切だ〉という顧愷之のことばを載せている。明代に文人画が盛んになると,胸中の丘壑(きゆうがく)を写すという意味で山水画についても伝神が言われるようになった(胸中丘壑)。
執筆者:山岡 泰造
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…それが真という文字にあらわれているのである。肖像画をさす言葉としてほかに,伝真,伝神,写照,写貌などがあり,伝真,伝神には写真と同じ,精神性を表現しようとする傾向が読みとれる。【戸田 禎佑】。…
※「伝神」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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