佃客(読み)でんきゃく(その他表記)dian ke

精選版 日本国語大辞典 「佃客」の意味・読み・例文・類語

でん‐きゃく【佃客・田客】

  1. 〘 名詞 〙 中国小作人をいう。→佃戸
    1. [初出の実例]「凡為佃客者、藜藿弗粒、繿縷露肩」(出典:徂徠集(1735‐40)一二)
    2. [その他の文献]〔晉書‐外戚伝・王恂〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「佃客」の意味・わかりやすい解説

佃客
でんきゃく
dian ke

田客とも書く。中国において一般に小作人をさすが,その性格は時代により一様でない。漢代,公田や豪民の土地を貧民に貸し (仮田) ,収穫の半分ないし3分の2を納めさせるのは,後世佃戸とあまり変らないが,奴隷の耕作がおもであった点,宋以後と異なる。西晋のとき,占田法が行われ,豪族の土地所有と佃戸の数が制限された。このころから佃戸がみられるが,西晋より南朝にいたる佃客は,主人と同じ戸籍につけられていて,宋以後の佃戸が戸籍のうえで独立しているのとは異なっていた。唐の均田制のもとでも小作が行われたが,土地所有者と小作人 (佃人) との間には,宋以後のような上下関係はなかったらしい。唐の中頃均田制が崩壊すると,貴族武人荘園が発達し,均田農民が分解してこれらの荘園に逃入し,佃戸となった。宋代の佃戸は,戸籍のうえでは主家より独立していたが,主家と対等な関係にはなっておらず,重い租課 (小作料) を納めさせられ,地主の家の雑役にも使われ,法律上も,佃戸の地主に対する犯罪は重く罰せられることになっていた。明,清になると,地主,佃戸関係も以上のような上下関係が弱まって,法律上も佃戸の地主に対する犯罪が,一般人の場合と同じく罰せられるようになり,佃戸の地主に対する抗租がはげしくなって,大規模な暴動を起すようなこともしばしばあった。

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普及版 字通 「佃客」の読み・字形・画数・意味

【佃客】でんきやく・でんかく

小作人。佃戸。〔晋書食貨志〕其の應(まさ)に佃客るべきは、官品第一、第二なるは、佃客五十ぐる無く、第三品は十

字通「佃」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の佃客の言及

【小作制度】より

…国家所有地としての公田においても仮作制が行われた。土地の借用と地代の納入の形態をとるこうした制度は,六朝時代の豪族の土地でも行われ,耕作する農民は佃客と呼ばれた。漢・六朝の豪民・豪族の大土地所有の耕作農民としては奴婢が非常に重要な位置を占め,一方自己の土地を所有してみずから耕す自作農も多数存在していた。…

【佃戸】より

…中国において,一般的用語としては小作人を意味し,漢代豪族の大土地所有の耕作者にまでさかのぼることができる。西晋(3世紀半ば)以降,佃客の呼称もあらわれるが,なお主家の家籍に付けられていて家内奴隷に近かったらしい。佃戸が基本的な生産の担い手として土地制度史上重要になってくるのは宋(10世紀)以後で,均田制にかわって私的大土地所有が発展,佃戸制が普及した。…

※「佃客」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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