(読み)つくだ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


つくだ

国衙(こくが)領における国司・郡司・郷司、荘園(しょうえん)における領家・預所(あずかりどころ)・下司(げし)・地頭(じとう)らの直営田。正作(しょうさく)、用作ともよび、地味の肥えた良田に設定された。経営形態により4種類に分けられる。(1)平安初期の荘園の直営田のように、農民に手間賃(功(こう)という)も食料も支給せず、全収穫を領主が収取するもの(初期佃)。(2)規定の段別穫稲数を低く定めて、実際の収穫量との差額を農民の所得とするもので、佃を預作(よさく)または請作(うけさく)するという(請作佃)。(3)佃の耕作を名役(みょうやく)として名田に割り当てるもの(名役佃)。このうち、種子・農料を給付せず、領主が全収穫を収取するものを空(から)佃と称する。(4)名田と同質化して、年貢・公事(くじ)を収取されるもの。ただし年貢率は一般の名田より高いが、すでに佃本来の性質を失っている(平田(へいでん)佃)。佃は年貢(斗代(とだい))を出さないという意味で、領主の土地台帳である検注帳では「除分」扱いになっていた。

[阿部 猛]

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精選版 日本国語大辞典の解説

つく‐だ【佃】

[1] 〘名〙
① (「つくりだ」の変化した語) 耕作されている田地。作田。〔二十巻本和名抄(934頃)〕
※鮫(1963)〈真継伸彦〉一「いつも近くの佃(ツクダ)と、丘の斜面にひらいた畑の手入れをしている」
② 平安初期から戦国時代にいたる荘園領主直営の農地。種子・農具・食費などは領主が負担して下人、所従または荘内の農民に耕作させ、全収穫を領主の所得とした。ほかに国衙領(こくがりょう)などでも行なわれ、預所・地頭の佃もある。室町時代には一定の年貢高を定めて農民に小作させるものが多くなり、佃は衰滅する。
※宝生院文書‐永延二年(988)一一月八日・尾張国郡司百姓等解「以令預作佃満国内、就中息男頼方之佃、或郡四五町、或郷七八町、惣八箇郡令宛作佃其数甚多」
④ 「つくだぶし(佃節)②」の略。
※歌舞伎・霊験曾我籬(1809)八幕「幕のうち時の鐘、佃(ツクダ)の騒ぎにて引っ返し」
[2] 「つくだじま(佃島)」の略。
※雑俳・柳多留‐一一(1776)「つく田への壱番舟は米屋なり」

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百科事典マイペディアの解説

佃【つくだ】

荘園や国衙(こくが)領のなかの領主の直営地。初め領主が農民種子農具・食糧を与え,夫役(ぶやく)として耕作させ全収穫を収取。のち分割して農民に耕作させ,高い斗代を収取する形が一般化し,普通の名田(みょうでん)と同性質のものになった。荘官や地頭の直営地は正作田(しようさくでん)と呼ぶ。
→関連項目所領人吉荘

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デジタル大辞泉の解説

つく‐だ【×佃】

《「つく(作)りだ(田)」の音変化》
耕作する田。作り田。
荘園内における領主荘官地頭の直接経営地。領主らは種子・農具などを負担し、下人や荘園内の百姓に耕作させてすべての収穫を取得した。手作り地。正作(しょうさく)。
佃節(つくだぶし)」の略。
佃島(つくだじま)」の略。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


つくだ

荘園領主の直営田。手作 (てづくり) 田,正作 (しょうさく) 田ともいった。領主が自己所有の下人奴婢 (ぬひ) を使役し,あるいは荘民の労役で耕作し,種子,作料を給して経営した場合が多く,全収穫を収めた。領家佃,預所 (あずかりどころ) 佃,荘官佃もあった。

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旺文社日本史事典 三訂版の解説


つくだ

平安・鎌倉時代,荘園領主・荘官・地頭などの直営地
平作・用作・正作 (しようさく) ともいう。荘民の夫役や自己の下人・所従の使役によって耕作させ,全収穫を収得した。のちには高い斗代 (とだい) で荘民に小作させるようになり,実質的には消滅した。

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世界大百科事典 第2版の解説

つくだ【佃】

国衙領や荘園の中での領主の直営地。元来佃(たづく)る=耕作するというから転じて営田の意となった。9世紀中葉以降,諸史料に散見する。佃の特質として,(1)一定の地域内に熟田が選定される,(2)耕作に必要な種子・農料が領主から支給される,(3)佃の耕作は農民の夫役により行われ,収穫の大部分が領主の得分になる,などの諸点をあげうる。8~9世紀の初期荘園においては班田農民による賃租方式以外に,耕作者に日当食料を支払い,領主が全収穫を得る佃方式もあった。

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