低体温症(読み)テイタイオンショウ

デジタル大辞泉 「低体温症」の意味・読み・例文・類語

ていたいおん‐しょう〔テイタイヲンシヤウ〕【低体温症】

寒冷な環境の中で中心体温(直腸温度)がセ氏35度以下に下がると起こる症状。初期は寒さの訴えとふるえが起こるが意識は正常。極端に下がると、昏睡状態となり脈拍呼吸数が低下し、死亡凍死)する。→疲労凍死

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共同通信ニュース用語解説 「低体温症」の解説

低体温症

寒さなどで熱が失われ、体の深部の温度が35度以下になった状態。激しい震えや意識障害などの症状が出て、放置すれば死亡の恐れがある。体温の調節機能が衰えた高齢者が特に発症しやすい。東日本大震災では津波で体がぬれたことで低体温症になった人が多いとされる。能登半島地震でも、死者のうち32人の死因は低体温症や凍死だったことが警察調査で判明している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「低体温症」の意味・わかりやすい解説

低体温症
ていたいおんしょう

正常より体温が低下することによって全身的に引き起こされる症状。体温は測定部位によって大きく異なり個人差もあるが、一般に直腸で測定した中心体温が35℃以下になると、低体温症の症状が現れるとされる。原因としては、登山中の遭難や海難事故などにより、長い間低温環境にさらされて極度の体熱放散をきたした場合や、代謝機構に異常をきたし体熱産生が著しく低下した場合などがある。病的なものでは視床下部にある体温調節中枢が障害された場合や、甲状腺機能低下症に伴う粘液水腫、あるいは脳卒中後遺症などで体温調節に異常をきたした場合などがある。また、病気による衰弱、栄養状態の低下、さらに加齢老衰なども原因となる。

 症状は寒気や震えに始まり、初期には自律神経が働いて意識も保たれるが、中心体温が33℃以下になると、震えなどの耐寒反応がなくなるとともに意識障害や血圧および脈拍の低下をきたし、同時に筋硬直、呼吸数の低下、徐脈や不整脈などを伴うようになる。さらに中心体温が30℃以下と極端に下がり低体温状態が持続すると、心室細動をきたしたり、昏睡(こんすい)状態に陥ったりして致死的低体温症を生じ、ついには凍死に至る。

[編集部 2016年6月20日]

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百科事典マイペディア 「低体温症」の意味・わかりやすい解説

低体温症【ていたいおんしょう】

身体から失われる熱量が身体で生成される熱量及び外部からの熱の総計を上回り,中心体温(直腸温度)が35度以下になる症状。死亡率が高く危険な症状で山岳や海洋での遭難時に多い。2011年3月の東日本大震災の際に,東北地方の被災地に取り残された人々に多く発症したように,寒冷地や寒冷な時期の大規模な自然災害時にはとくに注意が必要。36度以下では震えが起こるが,32度あたりを境に震えがとまり意識混濁が起き,筋肉硬直や心臓機能低下が生じる。さらに体温が低下すると心肺機能の不全をきたし死に至る症状となる。すみやかに専門医の治療を受けなければならない。

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ダイビング用語集 「低体温症」の解説

低体温症

(=ハイポサーミア)身体の体温が周りの水温よりも高い所でダイビングすると、体温は水によって急速に奪われ る。このとき身体は体温を一定に保とうとしてどんどん熱を放出する。このように熱を放出することにより、体温が低下しコントロールを失った状態を低体温症 という。症状としては震えや筋力の低下、痛みなど。さらに正常な思考力の喪失、恐怖感からパニックに陥ったり、溺れたりすることもある。水中で熱を損失する速度はスーツの種類や体型などによるが、予防としてはじゅうぶんな保温効果のあるダイビングスーツを選ぶこと、体温を保つのに必要なだけの栄養分を摂取 しておくこと、など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「低体温症」の意味・わかりやすい解説

低体温症
ていたいおんしょう
hypothermia

体温異常降下,低温症ともいう。体温が正常の範囲 (35℃) 以下になった状態をいう。体温調節に関係する諸器官は正常であるが,外的条件が極度に変化して体温調節の限界をこえた場合と,調節中枢には異常はないが末梢器官の異常による場合,あるいは中枢の異常による場合などがある。

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