佐久穂(読み)さくほ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「佐久穂」の意味・わかりやすい解説

佐久穂(町)
さくほ

長野県中東部、南佐久郡(みなみさくぐん)にある町。2005年(平成17)、同郡佐久町、八千穂村(やちほむら)が合併して成立。西は八ヶ岳(やつがたけ)連峰、東は荒船(あらふね)山(1423メートル)を望み群馬県と接する。町の中央部を千曲川(ちくまがわ)が北流。千曲川に沿ってJR小海(こうみ)線、国道141号、その西方を中部横断自動車道が走り、それと交差するように国道299号が横断(冬季間閉鎖)。国道299号は麦草峠(むぎくさとうげ)を越えて茅野(ちの)市に入ると、メルヘン街道とよばれる。内陸性気候で寒暖の差が大きく、冬季の積雪は少ないが寒気は厳しい。日照時間が年平均約2000時間と四季を通じて長い。江戸時代は佐久甲州(こうしゅう)往還(国道141号)の宿が上畑(かみはた)と高野町(たかのまち)にあり、高野町には徳川家光の次男徳川綱重(つなしげ)(後の甲府城主)が佐久領を管理するために一時陣屋を置いた。千曲川両岸一帯での米作、段丘上ではキクの栽培が盛ん。八ヶ岳連峰の東北麓(とうほくろく)は八千穂高原とよばれる。カラマツシラビソコメツガ樹林に囲まれる標高2115メートルの白駒池(しらこまいけ)は、11月下旬~12月上旬には全面凍結する。八千穂高原スキー場も整備され、八千穂駅近くには奥村土牛(おくむらとぎゅう)記念美術館がある。東端の十石(じっこく)峠を含む一帯は妙義(みょうぎ)荒船佐久高原国定公園の指定域。面積188.15平方キロメートル(一部境界未定)、人口1万0218(2020)。

[編集部]


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改訂新版 世界大百科事典 「佐久穂」の意味・わかりやすい解説

佐久穂[町] (さくほ)

長野県東部,南佐久郡の町。2005年3月佐久町と八千穂(やちほ)村が合体して成立した。人口1万2069(2010)。

佐久穂町北部の旧町,南佐久郡所属。人口8849(2000)。東部の関東山地,西部の北八ヶ岳連峰に囲まれた東西に細長い町で,東は群馬県,西は茅野市に接する。中央部を千曲川が北流し,川沿いの平地をJR小海線,国道141号,299号線が走る。千曲川の両岸に対向する駅前集落の羽黒下と,佐久甲州街道の宿駅として発展した高野町が主集落。農業が主産業で,米作と花卉・果樹栽培,畜産などが行われる。

佐久穂町南西部の旧村。南佐久郡所属。人口4773(2000)。八ヶ岳東麓の高原に広がる農村。東部を千曲川が北流し,西岸を国道141号線,対岸をJR小海線が走る。千曲川沿いでの米作を中心に,キクなどの花卉,高原野菜の栽培が行われる。乳牛,肉牛,豚の飼育も盛ん。八ヶ岳横断道路(国道299号線)が通じる八千穂高原では別荘地の開発が進む。池ノ平牧場,白駒池を訪れる観光客が多い。八千穂駅の近くにある奥村土牛記念美術館は村の代表的な文化施設。
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百科事典マイペディア 「佐久穂」の意味・わかりやすい解説

佐久穂[町]【さくほ】

長野県東部,八ヶ岳北麓を占める南佐久郡の町。町内を千曲川が北流する。2005年3月南佐久郡佐久町,八千穂村が合併し町制。JR小海線,国道141号線,299号線が通じる。188.15km2。1万2069人(2010)。

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