佐久間信盛(読み)さくま・のぶもり

朝日日本歴史人物事典 「佐久間信盛」の解説

佐久間信盛

没年:天正9.7.22(1581.8.21)
生年:大永7(1527)
戦国安土桃山時代の武将。佐久間信晴の子として尾張に生まれる。はじめ牛助,次いで出羽介,右衛門尉を称した。織田信秀に仕え,信長が家督相続をするときこれを支持し,以後,信長の信任を得たといわれる。永禄11(1568)年の信長の上洛に従い,京都の治安維持に努め,次いで近江永原城を預けられ,柴田勝家と共に,近江から六角承禎(義賢)の勢力を掃討するのに力があった。元亀3(1572)年12月の遠江三方ケ原の戦に,徳川家康の援軍として浜松城に送られたが,このときは完敗を喫している。長篠の戦,伊勢長島一向一揆との戦,越前一向一揆との戦など,信長の戦闘のほとんどに参陣しているが,なかでも天正4(1576)年から本格化した石山本願寺包囲戦では,その中心的な位置にあった。ところが石山本願寺が降服してきた直後の同8年8月,「無為に五カ年間を費した」と信長から問責され,子正勝ともども高野山に追放される。明智光秀の讒によるとも,実際,茶の湯に耽溺して軍務を怠ったからともいわれているが,真相は不明で,信長のいわゆる「捨て殺し」政策の犠牲になったとされる。剃髪して宗盛と号したが,紀伊国十津川の温泉で病気療養中に病死した。なお,子正勝はのちに許されて織田信長に仕え,不干斎と号して豊臣秀吉御咄衆となり,茶人としても名を残している。

(小和田哲男)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「佐久間信盛」の意味・わかりやすい解説

佐久間信盛
さくまのぶもり
(?―1582)

戦国時代から安土(あづち)桃山時代の武将。出羽介(でわのすけ)、右衛門尉(うえもんのじょう)。織田信長の老臣。佐久間氏は安房(あわ)佐久間(千葉県安房郡鋸南(きょなん)町上・中・下の佐久間)から尾張(おわり)(愛知県)に移る。のちその家は山崎城(名古屋市南区)と五器所(ごきそ)城(同昭和区)との2家に分かれた。信盛は山崎城主。1572年(元亀3)徳川家康の援軍として、遠江(とおとうみ)三方ヶ原(みかたがはら)(浜松市)で武田信玄(しんげん)と戦い惨敗。76年(天正4)以来、石山本願寺の攻囲に参戦したが、80年開城後、戦功のないことなどを問責され、高野山(こうやさん)に追放された。茶道にも造詣(ぞうけい)がある。

奥野高広

『奥野高広・岩沢愿彦校注『信長公記』(1969・角川書店)』

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改訂新版 世界大百科事典 「佐久間信盛」の意味・わかりやすい解説

佐久間信盛 (さくまのぶもり)
生没年:1527-81(大永7-天正9)

戦国期の武将。尾張の織田信長の家臣で近江永原の長光寺城を預かる。1570年(元亀1)近江の六角義賢を破り頭角を現し,75年(天正3)武田氏との長篠の戦で活躍し,その賞として三河の水野信元の遺領を与えられる。翌年,一向一揆の本拠である石山本願寺の攻撃のため出陣。以後5年間,戦果のあがらぬ責を負わされて,80年に改易。高野山に謹慎の後,熊野で死没。
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「佐久間信盛」の解説

佐久間信盛 さくま-のぶもり

1527?-1581 戦国-織豊時代の武将。
大永(たいえい)7年?生まれ。佐久間信晴の長男。織田信秀につかえ,織田信長の重臣となる。長篠(ながしの)の戦い,一向一揆(いっき)の鎮圧などに功があった。天正(てんしょう)4年からの石山本願寺攻めで総大将となるが,8年その無策をとがめられ,高野山に追放された。天正9年7月24日死去。55歳?尾張(おわり)(愛知県)出身。通称は右衛門尉。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「佐久間信盛」の意味・わかりやすい解説

佐久間信盛
さくまのぶもり

[生]? 尾張
[没]天正10(1582).紀伊
安土桃山時代の武将。正盛の子。右衛門尉と称した。初め織田信秀に仕え,のち信長に従って近江佐々木氏の征討,比叡山の焼打ち,三方ヶ原の戦い,朝倉氏の征討,一向一揆の鎮圧,松永氏の討伐に功があった。天正8 (1580) 年信長に追放され,高野山に入り落飾した。

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