佐須奈(読み)さすな

日本歴史地名大系 「佐須奈」の解説

佐須奈
さすな

中世、佐護さご郡内にみえる地名。建武三年(一三三六)二月九日の某所領注文写(島居文書)に「さすなとの さこのこのかうミ」とある。南北朝期、宗澄茂は八幡宮の灯油田の年貢を従来どおり納入すべきことなどとともに、与良よら郡の買地について「佐須奈内大浦小浦」も前例に従うべきこととしている(年未詳八月一三日「宗澄茂書下写」宗家判物写)。明徳四年(一三九三)五月一三日の某書下写(伊奈郷宗家判物写)に「さすなのさんわうのいち」とみえ、佐護郡内の「ひよしさんわう」(日吉山王か)の市の「よりめのちぬしはたけ」が安堵された。嘉吉二年(一四四二)下部を持っていないと嘆願した宗中務丞に対して「さすな」の米を与えるので召使うよう命じている(同年三月二一日「宗貞盛書下」馬廻判物帳)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「佐須奈」の意味・わかりやすい解説

佐須奈
さすな

長崎県対馬市(つしまし)上県町(かみあがたまち)地区の北部を占める地域。旧佐須奈村。対馬の北西岸に位置する。地名は砂州(さす)を意味しているが、小さな砂地の上の集落で、島大国魂御子神社(しまおおくにたまみこじんじゃ)(式内社)がある。木材シイタケ集散地をなし、佐須奈湾の海岸テングサ産地で、その採取量は対馬第一。

[石井泰義]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「佐須奈」の意味・わかりやすい解説

佐須奈
さすな

長崎県,対馬市北西部,上県町の中心集落。旧村名。 1955年仁田村と合体して上県町となる。古くからの港町朝鮮半島に近いために重要視され,寛文 12 (1672) 年には宗氏朝鮮貿易開港場となった。現在は木材などの移出港。

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世界大百科事典(旧版)内の佐須奈の言及

【上県[町]】より

…平地が少なく,海岸部の小平地や河川流域に集落が点在しており,国道382号線が縦貫する。役場所在地の佐須奈は古くから朝鮮貿易の窓口として栄え,現在も郡内を管轄する行政諸機関が集中する。産業の中心は漁業で,ブリ,イカなどの漁獲が多く,ハマチ,タイなどの養殖も盛ん。…

※「佐須奈」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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