何応欽(読み)カオウキン

デジタル大辞泉 「何応欽」の意味・読み・例文・類語

か‐おうきん【何応欽】

[1890~1987]中国軍人政治家貴州省興義県の人。日本の陸軍士官学校卒。蒋介石腹心として国民革命軍要職歴任。1935年日本との間に梅津‐何応欽協定締結。1949年、行政院長に就任台湾に渡って引退。ホー=インチン

ホー‐インチン【何応欽】

かおうきん(何応欽)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「何応欽」の意味・わかりやすい解説

何応欽
かおうきん / ホーインチン
(1889―1987)

中国の軍人、政治家。貴州(きしゅう/コイチョウ)省の人。1916年(大正5)日本の陸軍士官学校を卒業。在日中に中国同盟会に加入して、辛亥(しんがい)革命後の反袁世凱(えんせいがい)の政争に参加。1924年黄埔(こうほ)陸軍軍官学校の教頭、ついで北伐国民革命軍第一軍団長となり、参謀長も歴任し、蒋介石(しょうかいせき/チヤンチエシー)を助けた。満州事変後、日本との妥協を策し、北京(ペキン)軍事分会委員長のとき、1935年に梅津‐何応欽協定を締結して日本軍の華北支配を助けた。日中戦争のさなか1939年に陸軍総司令、戦後1947年には国連安保理事会参謀長会議に中国代表として出席。人民共和国成立後は台湾に逃れ、MRA(道徳再武装運動、現IC=Initiatives of Change)などで活動。台湾戦略顧問委員会主任委員などの要職を務めた。

[加藤祐三]

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改訂新版 世界大百科事典 「何応欽」の意味・わかりやすい解説

何応欽 (かおうきん)
Hé Yīng qīn
生没年:1890-1987

中国国民党の知日派軍人の一人。貴州省出身。日本陸軍士官学校卒業。留学中に中国同盟会に加入し辛亥革命に参加した。国民政府委員,国民革命軍総司令部参謀長,国民党中央執行委員,軍政部長,参謀総長などを歴任。1935年華北の反日運動を押さえ,華北支配を固めようとする日本の意図に屈して妥協を図り,梅津(美治郎)・何応欽協定を締結した。また蔣介石の側近として反共工作を指導。44年陸軍総司令,48年国防部長,49年行政院長。50年以来,台湾の国民党政府戦略顧問委員会主任委員をつとめる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「何応欽」の意味・わかりやすい解説

何応欽
かおうきん
He Ying-qin

[生]光緒16(1890).4.2. 貴州,興義
[没]1987.10.21. 台北
中国,台湾の軍人,政治家。字は敬之。日本陸軍士官学校 11期卒業。留学中,中国革命同盟会に加入し辛亥革命,第二革命に参加。 1924年黄埔軍官学校教務主任,26年の北伐には東路軍総指揮となり,国民政府委員,国民革命軍総司令部参謀総長,国民党中央執行委員などを歴任。その間,蒋介石の側近として対共産党戦を指揮。満州事変後の 35年梅津=何応欽協定を締結。日中戦争中は軍政部長,参謀総長の要職につき反共工作を指導。 48年国防部長,49年行政院院長となったが共産軍による上海陥落で辞任。 49年から台湾の国家安全会議戦略顧問委員会主任委員。 70年日華協力委員会出席のため訪日。 65年日本政府から勲一等旭日大綬章を受章。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「何応欽」の解説

何応欽(かおうきん)
He Yingqin

1890~1987

中国の軍人。貴州省興義県の人。日本の陸軍士官学校卒業。帰国後,革命運動に参加し,辛亥(しんがい)革命国民革命に加わる。1928年,蒋介石(しょうかいせき)のもとで参謀長となり,35年には軍事委員会北平分会主任として日本との軍事折衝にあたり,梅津‐何応欽協定を結ぶ。日中戦争中は軍政,軍令の要職を歴任,44年陸軍総司令となる。45年国際部長,49年行政院長に就任したが,上海失陥のためまもなく引責辞職。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「何応欽」の解説

何応欽 か-おうきん

1890-1987 中国の軍人。
光緒16年閏(うるう)2月13日生まれ。日本に留学中,中国同盟会に参加。帰国後,国民党中央執行委員,国民革命軍参謀長などをつとめる。満州事変後,梅津・何応欽協定をむすぶ。蒋介石の側近として反共工作を指導。中華人民共和国の成立後,台湾にのがれ,国民党の要職を歴任。1987年10月21日死去。98歳。貴州省出身。日本の陸軍士官学校卒。字(あざな)は敬之。

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百科事典マイペディア 「何応欽」の意味・わかりやすい解説

何応欽【かおうきん】

中華民国の軍人。貴州省の人。日本の陸軍士官学校を卒業し国民党内で知日派の巨頭。1926年北伐で活躍し,参謀長となる。1933年軍事委員会北平分会主任となり,華北における日中間の軍事折衝に当たり,1935年梅津・何応欽協定を締結。のち要職を歴任,1949年行政院長。革命後,台湾へ行く。

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