梅津(読み)うめづ

精選版 日本国語大辞典 「梅津」の意味・読み・例文・類語

うめづ【梅津】

  1. 京都市右京区の地名四条通西端桂川左岸に位置し、材木集散地であった。梅宮大社がある。

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日本歴史地名大系 「梅津」の解説

梅津
うめづ

太秦うずまさの南、四条大路(現四条通)を西に延長した所、桂川左岸一帯の地で、川を挟んで松尾まつお(現西京区)に対する。現在、梅津を冠する二九町がある。

古くより水陸交通上の要地で、桂川を通じ丹波よりの材木の揚陸地であった。「延喜式(木工寮)に、丹波材が大堰おおい(桂川)を下って「大井津」まで輸送されたことを示す記事があり、この「大井津」は嵯峨さがもしくは下流の梅津と考えられる。

梅津の名は、天暦一〇年(九五六)の山城国山田郷長解(東文書)に出るが、これによると、この地に修理職の木屋がおかれ、秦氏一族が管掌していたことが知られる。

<資料は省略されています>

延喜七年(九〇七)九月一〇日の宇多法皇大堰川行幸に、紀貫之が記した「大堰川行幸和歌序」に「月の桂のこなた、春の梅津より、御舟よそひて、渡し守を召して、夕月夜小倉山のほとり、行く水の大堰の川辺に行幸し給へば」とある。梅津より乗船し、大堰川を遡航したのである。貴紳山荘もつくられ、大宮人の往来も盛んであった。

「山槐記」永暦二年(一一六一)四月四日条には「大殿梅津殿御渡云々、故顕親朝臣山庄也、而召取有御造作云々」、同八月四日条には「今朝皇嘉門院自高倉殿幸梅津殿、中納言中将供奉、関白殿駕車令渡給云々」とあり、梅津殿とよばれる山荘があったし、関白藤原忠通の山荘もこの地にあり、忠通は「長安十二衢辺宅、都督納言昔引朋、西北亀山郊県外、東西鴈塔両三層、立望仙洞雲披閲、老訪禅林嵐響応、桂水梅津尤有意、花如白浪月如水」(本朝無題詩)ほか、梅津の情景を多くの詩に詠んでいる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「梅津」の意味・わかりやすい解説

梅津
うめづ

京都市右京区、太秦(うずまさ)の南、桂(かつら)川左岸一帯の地。『延喜式(えんぎしき)』の「大井津」は嵯峨(さが)から梅津にかけての河岸をさすと考えられ、江戸時代まで大堰(おおい)川(桂川)によって送られてきた丹波(たんば)材の揚陸地として栄えた。現在は洛西(らくせい)工業地域に含まれ、住宅地としても開発されている。梅宮大社(うめのみやたいしゃ)は橘(たちばな)氏の氏神として酒解神(さかとけのかみ)などを祀(まつ)る古社で、境内カキツバタキリシマツツジの名所。

織田武雄

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