正当な理由がないのに、封をしてある信書を開ける罪で、1年以下の懲役または20万円以下の罰金に処せられる(刑法133条)。本罪は、平穏な私生活を維持するために信書に記載された個人の秘密(プライバシー)を保護するための罪である。「封をしてある信書」とは、特定人から特定人にあてた意思伝達のための文書で、信書の内容を外部から認識されないように、信書と一体をなした外包装置がしつらえられたものをいう。したがって、信書を封筒に入れ、糊(のり)付けで封をしたものなどがその典型であるが、郵便葉書は信書ではあるが「封をしてある信書」ではない。また、信書を机に入れ、施錠したものは、信書と一体をなす装置ではないから、これにはあたらない。次に、封をしてある信書を「開ける」必要がある。ここに「開ける」とは、封を破棄して信書の内容を知りうる状態に置くことをさし、現に他人がその内容を知ったことを要しない。なお、封書を光線に透かして見る場合には、封を破棄して内容を認識したわけではないから、本罪にはあたらない。
[名和鐵郎]
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