郵便法(読み)ゆうびんほう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

郵便法
ゆうびんほう

昭和22年法律165号。郵便の役務をなるべく安い料金で,広くすべてにわたって公平に提供することによって,公共の福祉を増進することを目的とする法律。2007年10月の郵便事業民営化にあわせて改正された。郵便業務は日本郵便株式会社の事業とされ,その料金は実質弁償主義で,なんぴとも郵便の利用について差別されない。また郵便物検閲は禁止されている。郵便物の種類を第一種~第四種に分け,大きさの制限,包装の仕方,料金などが定められ,爆発物など郵便禁制品の定め,そのほか損害賠償,罰則までにわたり,郵便業務の基本的事項が定められている。関連法規としては,公職選挙郵便規則,国際郵便規則,郵便物運送委託法など,国際関係では,万国郵便連合憲章(→万国郵便連合),万国郵便条約,郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定そのほかがある。

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デジタル大辞泉の解説

ゆうびん‐ほう〔イウビンハフ〕【郵便法】

郵便事業を日本郵便株式会社独占事業とし、郵便物の種類・料金・取り扱い、郵便料金の納付および還付損害賠償などについて定めている法律。昭和23年(1948)施行。
[補説]平成14年(2002)の改正で事業主体が総務省から日本郵政公社に、平成19年(2007)の改正で郵便事業株式会社に改められた。さらに平成24年(2012)、郵便事業株式会社は郵便局株式会社に吸収合併され、日本郵便株式会社となった。

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百科事典マイペディアの解説

郵便法【ゆうびんほう】

郵便役務を安価・公平に提供することにより公共の福祉を増進することを目的とした法律(1947年公布,1948年施行)。郵便事業の運営,郵便の種類・料金およびその利用と取扱い,損害賠償などの基本的事項を規定。日本最初の郵便法令は,1871年郵便創業の際に太政官布告で公布された〈書状を出す人の心得〉。1873年制定された郵便規則により郵便事業官営と全国均一料金制を採用。後に郵便条例(1882年),小包郵便法(1892年)により整備され,これらは郵便法(1900年)に統合され,第2次大戦後,一新されて現行法となった。2002年の〈信書便法〉では民間業者による信書送達の許可制度が導入され,2005年10月には郵政民営化関連6法が成立,郵便制度の大改革が企図されている。
→関連項目信書開封罪第1種郵便物通信の秘密定形郵便物郵便

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世界大百科事典 第2版の解説

ゆうびんほう【郵便法】

〈郵便の役務をなるべく安い料金で,あまねく,公平に提供することによって,公共の福祉を増進することを目的とする〉(1条)法律(1947公布)。郵政大臣の管理する国営の独占事業である郵便事業について,郵便の性質,郵便物の種類と料金,郵便料金の納付および還付,郵便物の取扱い,損害賠償,罰則などの基本的事項を定めている。同法によれば,何ぴとも郵便の利用について差別されることはないし(6条),また,郵便物の検閲の禁止(8条),信書の秘密の不可侵,郵便業務従事者の守秘義務(9条)も定められ,国民の人権にかかわる郵便の特殊性が考慮されている。

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大辞林 第三版の解説

ゆうびんほう【郵便法】

郵便事業に関する基本的事項を定めた法律。郵便物の種類・料金・取り扱い、郵便料金の納付・還付、損害賠償などを規定し、国による郵便事業の独占、郵便物に関する検閲の禁止や信書の秘密の確保を定める。1900年制定の旧郵便法に代わり、47年(昭和22)制定。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

郵便法
ゆうびんほう

内国郵便制度の基本的な事項を規定した法律。昭和22年法律第165号。1947年12月12日に公布され、翌年1月1日から施行された。その後幾度か改正が行われているが、日本国憲法にのっとる郵便取扱いの基本法である。
 1871年(明治4)3月「書状ヲ出ス人ノ心得」が出された。これがいわば最初の郵便関係の法令となったものである。同年4月郵便が創業され、郵便線路が東京から長崎にまで伸びた同年12月には、最初の「郵便規則」が制定された。以後、郵便制度の発展と期を同じくし、毎年改正・増補されていた。1873年4月、郵便料金が従来の距離制から全国均一料金制に改められ、この年5月には郵便事業の政府専掌、つまり国の独占事業であることを定めた。これを契機として「郵便犯罪罰則」が同年6月に制定された。1882年12月に郵便規則と罰則を統合し、「郵便条令」が制定され、1900年(明治33)3月に旧「郵便法」が公布され、これを受けて同年9月新たに「郵便規則」が制定された。郵便法などの制定により近代郵便制度が法的に体系化されるとともに、制度の整備・充実が図られた。すなわち、価格表記、現金取立郵便制度の開設、書留郵便の賠償制度、私製葉書を認めることなどがそれである。1892年6月には小包郵便法が公布され、同年10月から小包郵便制度が開設されていたが、新しく制定された郵便法に、この法律も統合された。
 第二次世界大戦のあとに制定された郵便法は、第1章総則の第1条に「この法律は、郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供することによつて、公共の福祉を増進することを目的とする」とし、郵便の国営(第2条)、事業の独占(第5条)、利用の公平(第6条)、検閲の禁止(8条)、通信の秘密の確保(9条)などについても規定している。続く第2章以下において、郵便禁制品、郵便の種類、郵便料金の納付、郵便物の取扱い、郵便物の特殊取扱い、損害賠償、罰則等、郵便業務の基本事項を定めている。郵便法制定の当初は、郵便料金についても、この法の条項で定めていたが、1971年(昭和46)の改正で、第1種と第2種を除く郵便料金は郵政省令(その後、総務省令)に委任され、さらに81年度には、第1種、第2種の料金も省令に委任された。現行の「郵便規則」も、このとき制定されたものである。2003年(平成15)4月1日、総務省郵政事業庁の郵政事業を引き継ぎ、日本郵政公社が発足した。これに伴い、郵便法も次のように改正された。第2条の「郵便の国営」は、「郵便の実施」に改められ、条文も「郵便は、国の行う事業であって、総務大臣が、これを管理する」が、「郵便の業務は、この法律の定めるところにより、日本郵政公社(以下「公社」という)が行う」となった。郵便料金については、第3章雑則第75条の2、において「公社は、郵便に関する料金のうち次に掲げるものを定め、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする」とある。次に掲げるものとは、通常郵便物の料金、通常郵便物の書留、速達などの特殊取扱の料金、国際郵便に関する料金、である。そして、そのほかの郵便の料金は、総務大臣に届け出なければならない、としている。つまり、郵便料金は、総務大臣の認可を受けるか、総務大臣に届けるか、するだけで、改訂できることとなった。なお、公社発足と同時に「民間事業者による信書の送達に関する法律」(平成14年法律99号)が施行され、信書便制度が創設されたことに伴い、郵便法も改正され、第5条において「信書」の定義規定が設けられた。
 2005年10月に成立した郵政民営化法により、日本郵政公社は民営・分社化されることになり、2007年10月1日の民営化実施に伴い解散した。郵政事業は、日本郵政グループ(日本郵政株式会社および子会社の郵便局株式会社、郵便事業株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険)に移管され、これに伴い、郵便法も次のように改正された。第2条の郵便の実施については「日本郵政公社」から「郵便事業株式会社」に改められた。郵便に関する料金は第67条第1項で「あらかじめ、総務大臣に届け出なければならない」とされ、第一種・第二種郵便物(一般の手紙・葉書)の料金が認可制から事前届出制へ変更された。ゆうパック(一般小包)、EXPACK(エクスパック)500(定型小包)、ポスパケット(簡易小包)、ゆうメール(冊子小包)などの小包は、郵便法の適用外となり、郵便物ではなくなった(小包は貨物自動車運送事業法等の対象となり、料金は事前届出制から事後報告制へ変更)。また、書留、引受時刻証明、配達証明、内容証明、特別送達の提供については義務付けられているが、速達、代金引換、年賀特別郵便の提供は郵便事業会社の任意となった(第44条第1項)。内容証明、特別送達の取扱いについては、信頼性を維持するという観点から、郵便認証司(新設された国家資格。内容証明および特別送達の取扱いに係る認証を行う者であり、認証事務に関し必要な知識および能力を有する者のうちから、それぞれの会社の推薦に基づいて総務大臣が任命)が行うことになった(第48条第2項、第49条第2項、第59条)。[小林正義]
『郵政省郵務局監修『郵便法令集』(1999・国際通信経済研究所郵政教育センター) ▽郵政事業庁郵務部編著『郵便事業概説』(2002・一二三書房) ▽郵研社編・刊『郵政行政六法』(2004)』

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世界大百科事典内の郵便法の言及

【郵便】より

…創業時からこのときまでは,日の丸に横一線の入ったマークが用いられていた。郵便小包制度が創設されたのは92年であり,従来の条令,規則を整理し,1900年には郵便法が公布された。年賀郵便を制度的に取り扱うようにしたのは06年である。…

※「郵便法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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