個人のプライバシーや自由を守るため、手紙や電話、電子メールといった通信の内容、相手などを第三者や公権力に知られない権利。憲法21条2項は検閲の禁止に加え「通信の秘密は、これを侵してはならない」と規定している。この規定に基づき、インターネット空間では電気通信事業法により、事業者は業務上知り得た他人の秘密を守らなければならないと定められている。通信内容の漏えいや不当な取得などの違反をすれば、懲役や罰金の刑罰が科される。
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国民の通信に対する公権力の監視,干渉からの自由。古くは,特定人への意思の伝達を媒介する文書を意味する〈信書〉の秘密として主張されたが,今日では,媒介物の種類を問わずに,広く〈通信〉の秘密として理解されている。この自由はプライバシーの保護のために認められたものであるから,保護の対象は,通信の内容だけでなく,通信の日時,発信人や受信人の氏名,住所など,内容を察知させる可能性のある外形的事実にも及ぶ。
この権利は日本国憲法21条2項で保障されているが,もとより内在的制約には服するのであって,例えば犯罪捜査のための郵便物の押収は,憲法35条の令状主義の要件を満たせば可能である(刑事訴訟法99,100条)。また,電話盗聴については,アメリカでは裁判官の発行する令状によるものが許容されており,日本にもこれを支持する意見が強いが,電話による会話は郵便物以上に犯罪との関連性を特定することが難しいため,令状の発行基準は一段と厳格であるべきである。なお,電話の発信人の匿名性を悪用して犯罪に利用する誘拐や脅迫などに対処するための逆探知は,現行犯罪捜査の一種であり,令状を必要としない。
刑法133条の信書開封罪(正当な理由なく封をしてある信書を開けた者は1年以下の懲役または20万円以下の罰金に処せられる)や郵便法8,9条,公衆電気通信法4,5条などはこの自由を守るために存在する。
執筆者:江橋 崇
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
日本国憲法は、個人の尊厳(13条)を基本原理としつつ、プライバシー、すなわち個人の公開されない私生活に法的な保障を与えているものと解されている(プライバシーの権利)。このプライバシー権の保障にとって、通信の秘密は住居の不可侵とともに重要な意味をもつ。そこで、憲法は「通信の秘密は、これを侵してはならない」と規定する(21条2項後段)。この規定は、信書、電話、電信、会話などあらゆる私人間のコミュニケーションにおけるプライバシーを保護している。したがって、他人の会話を盗み聴きしたり、電話を盗聴器で傍受したり、他人の封書を開いて見るなどの行為は、通信の秘密を侵すものとして禁止される。ところで、通信の秘密の不可侵性が絶対的なものかという点に関して、警察官が犯罪捜査のため盗聴器を使用することが憲法上許されうるかという点につき、捜査目的のため必要な範囲と限度において許されると解した判例がある。さらに1999年(平成11)8月、裁判所の傍受令状があれば、重大犯罪が組織的に実行される場合の犯罪捜査に限り、電話やファクシミリなどの通信を捜査機関が傍受できることを定めたいわゆる通信傍受法が成立した。
[名和鐵郎]
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