俳諧用語。俳諧の制作に用いることばのうち,俗語,日常語,ことわざなど和歌・連歌に嫌うことば,音読する漢語,鬼,女,竜,虎,狼など千句連歌に一度だけ使用を許された耳立つことばをいう。〈俗言(ぞくごん)〉〈ただごと〉〈ひらことば〉ともいう。俳文芸ジャンルの確立をめざす貞徳は,〈抑(そもそも)はじめは誹諧と連歌のわいだめ(区別)なし。其の中よりやさしき詞(和語,歌語)のみをつゞけて連歌といひ,俗言を嫌はず作する句を誹諧といふなり〉(《御傘(ごさん)》)と,用語のうえから俳諧,連歌を区別した。彼はまた俳諧を,俳言を賦物(ふしもの)とする連歌にたとえたという(季吟著《増山の井》)。これらは一見形式主義的にみえるが,和語・歌語になじんだ連歌の様式に漢語・俗語を投げこんだときに生じる違和感,滑稽感や,日常語がにないこんでくる現実性,通俗性などは,俳諧の本質にほかならず,その証拠に,俳言は俳意(俳諧性)と同義に用いられることが少なくなかった。しかし,社会の上下両階層をかかえこむ貞門では,新俗に過ぎる俳言の使用を禁じたため急激に下降し,拡大する作者層の要求にこたえることができず,俳言の規制を質量ともに撤廃した談林俳諧の流行を招いた。談林は俳言の通俗性を最大限にふくらませ,歌語までもそれに同化吸収せしめたが,そこから出た芭蕉は,“俗語を正す”理念を掲げ,俳言を詩語へと昇華させることによって,俳諧文学の革命を遂行した。
→貞門俳諧
執筆者:乾 裕幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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