催促状(読み)さいそくじょう

日本大百科全書(ニッポニカ)「催促状」の解説

催促状
さいそくじょう

中世の文書形式の一種で、一般に、ある事柄を催促する内容をもつ。

(1)訴訟文書の一種。鎌倉期の訴訟において、問状(といじょう)を受け取った論人(ろんにん)(被告)が陳状や請文(うけぶみ)を提出しない場合、訴人は幕府にこれらの速やかな提出を求めることができた。これを受けて幕府が論人に陳状などの提出を促した文書が催促状である。

(2)鎌倉・室町期の軍勢催促状の略称。武将が軍勢の出陣を命令するために出したもので、異国警固番役(いこくけいごばんやく)の催促状などもその一種である。この場合、切紙(きりがみ)を用いることが多かった。

[大久保俊昭]

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精選版 日本国語大辞典「催促状」の解説

さいそく‐じょう ‥ジャウ【催促状】

〘名〙
① 義務の履行を催促する目的で出された書状
※島崎金次郎宛大田南畝書簡‐享和元年(1801)四月二八日「平井之方一向沙汰なし困り申候。催促状出候間早く御とどけ可被下候」
② とくに、中世、将軍家、領家などがその配下の者に対し、課役の徴収・軍勢の徴発などを催促する文書。
③ 鎌倉・室町幕府の訴訟制度で、原告の請求によって、問注所が被告に対して陳状、請文の提出、または出頭を命ずる書状。
※仁和寺文書‐嘉元三年(1305)一二月三日・平孝信請文「十一月二日御教書并同十九日御催促状、謹下預候畢」

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デジタル大辞泉「催促状」の解説

さいそく‐じょう〔‐ジヤウ〕【催促状】

催促するために出す書状。
鎌倉・室町時代、主君から部下に、軍勢・公役くやくを催促した文書。

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