徴発(読み)ちょうはつ(英語表記)requisitions

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「徴発」の解説

徴発
ちょうはつ
requisitions

戦時国際法上,占領者が占領地の住民または市町村から占領軍の軍事的必要のために物品を強制的に徴収することをいう。「陸戦ノ法規慣例ニ関スル規則」 (1907) によれば,徴発は食品,寝具,酒類など占領軍の必要品に限られ,その程度は占領地域の資力に応じたものでなければならない。徴発の手続は占領地の指揮官の許可によってなされる。徴発にはできるかぎり即金で代金を支払うことを要し,さもなくば領取書を交付して,できるかぎりすみやかに代金を支払わなければならない。海戦においても無防備の,都市,村落などに対して,海軍目前需要を満たすために軍需品の徴発が認められ,これに応じないときには砲撃することができる。その徴発の程度および手続はほぼ陸戦の場合と同様である。

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デジタル大辞泉「徴発」の解説

ちょう‐はつ【徴発】

[名](スル)
人の所有する物を強制的に取り立てること。特に、軍需物資などを人民から集めること。「馬や食糧を徴発する」
人を強制的に呼び集めること。「塹壕掘りに徴発する」

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精選版 日本国語大辞典「徴発」の解説

ちょう‐はつ【徴発】

〘名〙
① 呼びだすこと。兵士などを強制的に召しだすこと。また、召されてでること。
※続日本紀‐慶雲二年(705)一一月己丑「徴発諸国騎兵、為新羅使也」 〔史記‐平準書〕
② 民の所有するものを強制的にとりたてること。特に軍需物資などを人民から駆り集めることをいう。
※太政官布告第四十三号‐明治一五年(1882)八月一二日・二条「徴発は陸軍若くは海軍の際は本条に准す」

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世界大百科事典 第2版「徴発」の解説

ちょうはつ【徴発】

戦時または事変,時によっては平時演習に際して地方の人民に賦課して軍需を満たすこと。日本では第2次大戦終了までは1882年制定の徴発令によって行われ,現在では自衛隊法103条に同じ性格の規定(防衛出動時における物資収用等)がある。徴発令は朝鮮の壬午軍乱に当たり日本陸軍最初の動員を行うに際し急ぎ制定され,敗戦まで無修正で存続した。徴発は軍官憲の徴発書によって行われ,徴発の対象は糧秣薪炭,馬匹および運搬用の家畜車両器材,人夫,宿舎厩圉(きゆうぎよ)倉庫,飲水石炭,船舶鉄道,演習に適する地所,演習に要する器材であった。

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世界大百科事典内の徴発の言及

【太平洋戦争】より

… また各地で日本語の強制をはじめ日の丸への敬礼,〈君が代〉斉唱,宮城遥拝などの儀式が強制されるなど,性急な皇民化政策が実施された。そして皇民化政策以上に現地住民の反発を買ったのは,日本軍による残虐行為,強姦,現地調達主義に基づく〈徴発〉と称する物資と食糧の略奪であった。さらに日本軍は,ビルマ,マレーシア,ジャワなどの各地で労働力確保のため,現地住民の強制連行と連合国軍捕虜の強制労働を実施し,鉄道・道路の建設,陣地構築などの重労働に従事させた。…

※「徴発」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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