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儒林外史 じゅりんがいしRu-lin-wai-shi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

儒林外史
じゅりんがいし
Ru-lin-wai-shi

中国,清の口語章回小説呉敬梓 (ごけいし) の作。 55回。乾隆 10 (1745) ~14年頃成立。儒林とは「知識人社会」というほどの意。富と権勢の登竜門である科挙制度に群がる知識人の虚偽と破廉恥に満ちた内情を浮彫りにした長編小説。特定の主人公や一貫した筋はなく,多くのエピソードを連ねつつ,話が展開していく形式をとる。登場人物にはそれぞれ実在のモデルがいるといわれ,後半の重要人物の一人杜少卿は作者自身をモデルにしている。この手法は『官場現形記』『文明小史』など清末の社会批判小説に受継がれた。初め写本で流伝され,作者の死後十数年後に刊行された。現存する最古のテキストは,嘉慶8 (1803) 年の臥閑草堂本で,56回から成るが,最後の1回は後人の追加と考えられている。

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デジタル大辞泉の解説

じゅりんがいし〔ジユリングワイシ〕【儒林外史】

中国、清代の長編小説。呉敬梓(ごけいし)作。55回。科挙をめぐる士大夫たちの行動を描き、当時の社会を風刺したもの。

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百科事典マイペディアの解説

儒林外史【じゅりんがいし】

中国,清の白話長編小説。55回。呉敬梓(ごけいし)〔1701-1754〕作。1770年代刊。独立したエピソードの連続という形式をとり,官吏登用試験に汲々としていた当時の士大夫たちを風刺したもの。
→関連項目李宝嘉

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世界大百科事典 第2版の解説

じゅりんがいし【儒林外史 Rú lín wài shǐ】

中国,清代の白話長編小説。作者の呉敬梓(ごけいし)(1701‐54)は字は文木で,終生官途につけず落魄の生涯を送った人。初版は1770年代(乾隆35‐44)刊と推定される金兆燕刻本だが,現存する最古の刊本は1803年(嘉慶8)の臥閑草堂本56回である。一貫した主人公はおらず,エピソードを数珠つなぎにした〈連環体〉式の構成であるため,物語の自己完結性や面白さを失わせている。この構成は,安易なるがゆえに,清末に多くの模倣作を生んだ。

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大辞林 第三版の解説

じゅりんがいし【儒林外史】

中国、清代の口語体の長編小説。五五回(後人が付加した五六回・六〇回本もある)。呉敬梓ごけいし作。1745~49年頃成立。科挙をめぐる読書人たちの愚劣さや出世欲を風刺したもの。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

儒林外史
じゅりんがいし

中国、清(しん)代の小説。作者は呉敬梓(ごけいし)。55回。原本は50回であったともいうが伝わらない。現存最古の刊本は1803年(嘉慶8)刊の五十六回本。光緒(こうしょ)年間(1875~1908)に60回の石印本があるが、56回以後は後人が増補したもの。『紅楼夢(こうろうむ)』とともに清代小説の代表作とされる。作者は名家の出身であるが遺産を蕩尽(とうじん)し、士人としては最低生活のなかで生涯を終えた。その体験から、科挙の試験合格のみを目的とする士人の生活の裏面に及ぶ鋭い批判の眼(め)を通して、富と権力への欲望、事大主義、礼教の虚偽などを暴く一方、彼らと交渉をもつ商人、僧侶(そうりょ)、俳優、職人、農民などの生態にも眼を配り、腐敗した上層階級と貧しいが健康な庶民との対比により、当時の社会の構造を洗練された筆致でリアルに描き出している。作品には一貫した主人公はなく、連鎖的に人物を登場させた短編の集積という構成のために物語の展開という面でのおもしろさに欠けるが、士人の各種の類型をみることができる。とくに前半は、時代の犠牲者でありながら自覚せず科挙に振り回される人物、後半は、それに背を向けて個人の自由を愛する人物に関心が向けられている。作中人物にはモデルがあったようで、作者自身と思われる人物も登場する。士人の愛読者があったことは張文虎(ちょうぶんこ)(号は天目山樵(てんもくさんしょう))の評などからうかがわれる。清末に輩出した『官場現形記(かんじょうげんけいき)』『二十年目覩之怪現状(もくとのかいげんじょう)』などは、この作品の影響を受けたとされる。[尾上兼英]
『稲田孝訳『中国古典文学大系43 儒林外史』(1968・平凡社)』

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世界大百科事典内の儒林外史の言及

【科挙】より

…元曲《西廂記》の主人公は科挙を目ざして仏寺に勉学中の才子であり,南曲《琵琶記》の主人公は貧苦と闘いながら状元で及第した篤学の青年である。清代の小説《儒林外史》は科挙受験の描写から始まり,科挙を背景として成立した文人官僚社会の弊風を風刺する。このような純文学以外でも,唐・宋以降の歴史,伝記,政治論などの文章は,科挙の制度を知っていなければ理解できぬものが多い。…

※「儒林外史」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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