免家(読み)めんけ

精選版 日本国語大辞典 「免家」の意味・読み・例文・類語

めん‐け【免家】

  1. 〘 名詞 〙 中世荘園の下司・地頭以下の荘官社寺神官供僧などに、領主が支給して領知させた在家。その百姓は領主に対して年貢課役を負担する義務在家役)を免れる代わりに領知者に対して免家役(めんけやく)を負担した。免在家
    1. [初出の実例]「右件一度京上、自免家以後、為毎年不闕之例」(出典高野山文書‐平治元年(1159)一二月日・金剛峯寺所司京上役免除状)

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改訂新版 世界大百科事典 「免家」の意味・わかりやすい解説

免家 (めんけ)

免在家ともいう。在家とは中世の荘園や公領における一種の徴税賦課単位で,農民屋敷や薗地(えんち)と一体になった形で把握され,夫役・雑公事などの一定の負担を領主・国衙に対して義務づけられていたものと考えられる。それに対して免家とは,領主・国衙に対するこうした在家役の負担を免ぜられるが,その代り荘官・在地領主などの特定の給主に個別に人身的奉仕を強いられていたもので,〈免家之下人〉といったいい方もされている。こうした免家は九州や東北などの地域に多くみられるが,また高野山領荘園でもよくみられる。ただしこうした免家は必ずしも奴隷的な隷属状況にあるわけではなく,一般の農民として荘園や公領の耕作にあたりながら,特定の給主に対してその身辺雑事や給田畠の耕作などに駆使されるといった,いわば人身的奉仕を媒介とした特殊な関係にあったものと思われる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「免家」の意味・わかりやすい解説

免家
めんけ

荘園制で,荘官に支給された在家 (ざいけ) のこと。免家は,公事を領主ではなく荘官に納めた。この公事を免家役といい,荘官の給与の一種といえる。

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