全国地域婦人団体連絡協議会(読み)ぜんこくちいきふじんだんたいれんらくきょうぎかい

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

全国地域婦人団体連絡協議会
ぜんこくちいきふじんだんたいれんらくきょうぎかい

全国の加盟都道府県市団体を通じた地域婦人会・女性会、地域女性団体の全国ネットワーク組織。2019年(令和1)8月時点で、47都道府県の各地域婦人団体連絡協議会等および川崎市地域女性連絡協議会の、あわせて48団体が加盟している。略称全地婦連(ぜんちふれん)。通称、地婦連

 全地婦連は、「地域婦人会」の全国的な連絡協議機関として1952年(昭和27)に結成された。初代理事長(現在は会長と呼称)は東京都地域婦人団体連盟会長であった山高(やまたか)しげりである。山高は、後に参議院議員となった。

 「地域婦人会」は、親睦(しんぼく)、隣保扶助を目的とした日本の伝統的な住民組織の系譜に属する組織であり、同一地域の主婦が参加する地縁的に結成された女性団体である。第二次世界大戦前から実質的に存続し続けていたものもあったが、戦後、自発的にあるいは県社会教育課やGHQ(連合国最高司令官総司令部)の働きかけ等により結成された。

 全地婦連は、各都道府県および政令指定都市単位の地域女性団体をもって構成されている。「地域婦人会」は、小学校区単位、中学校区単位、町内会単位等地域の実情に応じて結成され、それら「地域婦人会」が行政単位でまとまって、連絡協議会や連合会を結成している。全地婦連は、加盟団体が平等の権利をもって横に手をつなぐ連絡協議会という民主的な柔構造組織形態をとっている。

 全地婦連は、特定政党に属することはしないとし、(1)男女平等の推進、(2)青少年の健全育成、(3)家庭生活ならびに社会生活の刷新、(4)高齢化社会への対応、(5)地域社会の福祉増進、(6)世界平和の確立等の実現を目的としている。またこれまで時代時代に応じた、多岐にわたる取組みを行っている。たとえば、公明選挙運動、売春防止法制定運動、家族制度復活反対運動、原水爆禁止運動、母と子のための良質な映像作品を制作する桜映画社の設立、新生活運動、沖縄返還運動、北方領土復帰促進運動、全国婦人会館の建設、実態調査による消費者運動、高品質で低価格の「ちふれ化粧品」の開発、カラーテレビ買い控え・値下げ運動、再販制度廃止運動、男女共同参画社会の実現などである。

[神尾真知子 2019年10月18日]

『全国地域婦人団体連絡協議会編・刊『全地婦連30年史』(1986)』『東京都地域婦人団体連盟編・刊『東京地婦連50年のあゆみ』(1998)』『神﨑智子「地域社会における女性団体の活動に関する研究―北九州市の女性団体を中心に―」(アジア女性交流・研究フォーラム編・刊『KFAW調査研究報告書 Vol.2015-1』・2016)』『全国地域婦人団体連絡協議会「事業計画」(各年度版)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

全国地域婦人団体連絡協議会
ぜんこくちいきふじんだんたいれんらくきょうぎかい

日本における婦人運動団体の連絡協議機関。略称,全地婦連。 1952年7月山高しげりらによって結成され,2004年現在,全国の 50婦人団体が参加しており,会員数は約 500万。その活動は諸団体の結合という組織構成を反映し,幅広い領域にわたっているが,家族制度復活反対運動,売春防止法制定運動,公明選挙運動,原水爆禁止運動などがあげられる。最近ではちふれ化粧品の販売をはじめ,消費者運動にも力を入れている。婦人の政治,社会運動への積極的参加を促進するうえで大きな意義をもっている。

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知恵蔵 の解説

全国地域婦人団体連絡協議会

地婦連」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の全国地域婦人団体連絡協議会の言及

【女子教育】より

…1956年から生活課題に即した集団学習の場としての婦人学級,婦人講座が,64年から家庭教育に関する集団学習の場としての家庭教育学級,家庭教育講座(両親対象であるが実質的には女性対象)が,76年から女性の能力・技術の提供を通してその人間性を高める学習の場としての婦人ボランティア育成講座などが,それぞれ数多く市町村で開設されている。また,1952年結成の全国地域婦人団体連絡協議会(地婦連)など多様な女性団体による学習活動も見のがせない。しかしここでも,婦人学級に典型的にみられるように,参加者の大部分は職業をもたない主婦であり,茶華道中心の趣味,健康管理および体育・レクリエーション,家庭の生活設計などに多くの時間がさかれ,婦人の政治・社会意識を高め,また経済的自立に役だつための講座はきわめて少なかった。…

【地婦連】より

…全国地域婦人団体連絡協議会の通称。〈全地婦連〉とも通称される。…

【婦人会】より

…この官制三大婦人会の間に摩擦が生じたため,42年にこの三つが統合され大日本婦人会となった。第2次大戦後,地域の民主化を推進するために地方行政当局や占領軍民生部からの要望もあって,地域婦人会が町村を単位にして新たに結成され,その全国組織として52年に全国地域婦人団体連絡協議会(地婦連)が結成された。表面的には戦前と戦後の婦人会はつながっていないが,実質的には戦前の体質を温存している会も多かった。…

【不買運動】より


[日本]
 日本でも消費者運動としての不買運動はこれまで何回か行われ,とくに1970年から翌年にかけてのカラーテレビ不買運動は重要な結果を生んだ。この運動は,当時普及期にあったカラーテレビ受像機について,以前から国内と輸出の二重価格が問題とされ,また家電業界が独占禁止法違反容疑で公正取引委員会の摘発を受けていたことなどを背景とし,直接にはメーカーの定める〈定価〉が実売価格を大きく上回っていたことに抗議して,70年9月,全国地域婦人団体連絡協議会(地婦連)がカラーテレビの1年間買控えを呼びかけたのに始まる。一方ですでに同年春,人工甘味料チクロの完全追放を要求して地婦連,主婦連合会,日本生活協同組合連合会などからなる〈消費者5団体〉がチクロ入り食品の不買運動を行い,ある程度の成果をあげていたこと,他方では家電業界の対応が拙劣であったこと,などの事情も加わって,地婦連の呼びかけはただちに〈消費者5団体〉による活発な不買運動に発展し,これはヤミ再販の摘発を受けていた松下電器産業に対する抗議をも加味しつつ,翌年4月まで継続された。…

※「全国地域婦人団体連絡協議会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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