共同通信ニュース用語解説 「全国地震動予測地図」の解説
全国地震動予測地図
日本中のある場所を襲う地震の揺れ(地震動)の強さや危険性を「今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」などの形で示した地図。プレート境界の海溝や、内陸の活断層で起きる地震の想定を基に政府の地震調査委員会が作成する。最初の地図は2005年公表。11年の東日本大震災以降は1~2年置きに改定されている。
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日本中のある場所を襲う地震の揺れ(地震動)の強さや危険性を「今後30年間に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」などの形で示した地図。プレート境界の海溝や、内陸の活断層で起きる地震の想定を基に政府の地震調査委員会が作成する。最初の地図は2005年公表。11年の東日本大震災以降は1~2年置きに改定されている。
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地震発生の長期的な確率評価と強震動の評価とを組み合わせた「確率論的地震動予測地図」と、特定の地震に対して、ある想定されたシナリオに対する詳細な強震動評価に基づく「震源断層を特定した地震動予測地図」の2種類の性質の異なる地図をあわせて全国地震動予測地図とよぶ。ある地域が将来どのくらい強い地震動にみまわれる可能性があるかは、将来おきる地震の規模や、その震源からの距離、さらには、地盤の善し悪しに依存する。また強い地震動にみまわれる確率は、周囲で発生する大地震の活動間隔や、活動の時期により異なってくる。最近大地震がおこったばかりの地域では、地震の再来間隔などから考えて次の地震がおきるまでまだ時間があると考えられることから、確率は低くなる。その一方で地震がおきてから十分に時間が経過している場合には、次の地震の発生時期が近づいているということで、確率は高く評価される。将来発生が予想されるいろいろな地震について、これらの要素を総合して、今後一定の期間にある震度以上の揺れにみまわれる確率を地図上に示したものが、確率論的地震動予測地図である。確率論的地震動予測地図は、2002年(平成14)から地震調査研究推進本部の地震調査委員会で試作、公表されるようになった。2005年からは、今後30年間に震度6強以上の揺れにみまわれる確率を示した図を、「全国を概観した地震動予測地図」として公表している。これら地震の危険度を示す地図は、各自治体などの防災対策に役だてることを目的としており、2009年からは、「全国地震動予測地図」と名前を変えて公表されている。
実際には、大地震のおきる場所や規模、その繰り返し間隔や過去の活動履歴が十分に明らかにされているとは限らないし、震源をあらかじめ特定できない大地震もおきる可能性があるので、確率予測には不確定な要素も含まれる。また、予測は長期的に平均すれば当てはまるとしても、個々の地震発生など、短期的には当たっていないようにみえる場合もある。現在公表されている全国地震動予測地図によると、震度6強以上の地震動にみまわれる確率の高い地域は、近い将来発生が予想される東海・南海地震などの震源域に近い東海、四国地方の太平洋岸、地盤が軟弱で地震活動が活発な関東地方、過去に大地震が繰り返しおきている北海道東部の太平洋岸などとなっている。2011年東北地方太平洋沖地震のように発生頻度が低い大地震の危険度は、30年間という短い期間の確率には反映されにくいことがわかってきたため、2011年以降見直しが行われ、低頻度の大地震や、震源が特定しにくい大地震の危険度も、地図上にある程度反映されるよう改良が行われている。
[浜田信生]
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