公団住宅(読み)コウダンジュウタク

デジタル大辞泉 「公団住宅」の意味・読み・例文・類語

こうだん‐じゅうたく〔‐ヂユウタク〕【公団住宅】

都市基盤整備公団(現都市再生機構)が建設し、分譲または賃貸する住宅旧称

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精選版 日本国語大辞典 「公団住宅」の意味・読み・例文・類語

こうだん‐じゅうたく‥ヂュウタク【公団住宅】

  1. 〘 名詞 〙 日本住宅公団および住宅都市整備公団(現在は都市再生機構)が建設した共同住宅。昭和三一年(一九五六)千葉県稲毛団地で入居を開始した。一戸建て集合住宅の別や、賃貸、分譲の別がある。公団

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改訂新版 世界大百科事典 「公団住宅」の意味・わかりやすい解説

公団住宅 (こうだんじゅうたく)

住宅・都市整備公団(1981年10月1日以前は,その前身である日本住宅公団。現,独立行政法人都市再生機構)により建設される住宅をいう。第2次大戦後の住宅不足を緩和するための住宅政策として,地方公共団体が低所得者のために国庫補助を受けて供給する公営住宅と,みずから住宅建設を行おうとする個人または法人に,金融上の助成を行う住宅金融公庫の融資制度とがあった。しかし,大都市周辺の住宅不足は戦後10年近くを経ても解消されず,衣食といった一般の生活水準の回復度に比べて,住宅の立遅れが目だっていた。1954年に成立した鳩山一郎内閣は,主要施策の第1に〈住宅対策の拡充〉をとり上げ,55年度を初年度とする住宅建設10ヵ年計画を策定した。そして,その計画実施の重要な担い手として,公営住宅の伸び悩みの原因である資金難をカバーし,大都市地域を中心に,行政区画にとらわれず広域的な住宅供給を行うために,55年7月に日本住宅公団を設立した。

 公団住宅の特色は,都市防災と住宅性能の向上を図るため,また土地を高度に利用し,良好な居住環境をつくりだすために,一定の耐火性能を有する住宅を集団的に建設するところにある。また〈街づくり〉〈環境づくり〉の視点から,必要に応じて住宅と併せ,学校,幼稚園,保育所,公園などの公共施設,あるいは診療所,郵便局,購買施設などの利便施設が総合的に計画されることも特色の一つである。公団住宅には一般個人向けとして,賃貸住宅分譲住宅とがある。賃貸住宅は家賃が低額となるよう国の利子補給を受けており,分譲住宅も同様に長期低利の割賦支払が可能な仕組みとなっている。そのほか,貸家経営を行ったり,社宅を建設しようとする個人や法人のための特定分譲住宅がある。また賃貸住宅と分譲住宅はその立地により,団地住宅と市街地住宅とに分類できる。団地住宅は,主として大都市の郊外に大規模な団地として建設される住宅を指し,公団住宅の最も典型的な形である。これに対し市街地住宅は,都市の既成市街地内において職住近接の住宅供給を図りつつ,健全な市街地の形成に必要な施設との一体的な建設を行うことにより,都市の整備に寄与するよう配慮して建設される。公団住宅は,1955年から81年までの日本住宅公団の時代に建設されたものだけでも,賃貸住宅約65万戸,分譲住宅約20万戸,特定分譲住宅約27万戸,合計約112万戸に達している。一方,そのような量的側面もさることながら,戦後の生活の合理化・近代化を背景としつつ,公団住宅の普及に伴って鉄筋コンクリート造の中高層共同住宅という住様式が徐々に日本に定着していったことも見逃せない。〈団地〉〈団地族〉〈2DK〉〈ダイニングキッチン〉等という言葉が一般に使われるようになったのもこのころである。

 昭和50年代となると,住宅の量的な充足が進み,国民の住宅に対する要求は高度化し,かつ多様化する傾向が著しくなった。公団住宅もそれに伴って,〈量の時代〉から〈質の時代〉に移ることとなった。住宅の規模も2DK主体からしだいに大型化し,第4期住宅建設5ヵ年計画が発足した1981年度においては,賃貸住宅では3DK,分譲住宅では3LDK,4LDKが主体となっている。住棟形式も,その立地に応じて,共用庭を囲んだタウンハウス,各住戸が庭または屋上テラスをもつ3~4階建ての準接地住宅など,さまざまの新しい形式のものが建てられるようになった。また需要者の住要求の多様化や,家族構成の時間的変化に対応するため,工業化された住宅用部品の活用による,間取りの可変型住宅や,内装設備を選択できるメニュー方式等も採用されており,そのほか共同で住宅を建設しようとする人たちに,設計上の希望をとり入れて建設するグループ分譲住宅など,多様な供給手法がとり入れられている。なお公団住宅は,現在ではUR賃貸住宅などと呼ばれる。
住宅政策
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家とインテリアの用語がわかる辞典 「公団住宅」の解説

こうだんじゅうたく【公団住宅】

日本住宅公団(のちの住宅・都市整備公団、都市基盤整備公団、現都市再生機構)が供給した住宅。賃貸住宅と分譲住宅があるが、おもに賃貸の集合住宅をいう。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「公団住宅」の意味・わかりやすい解説

公団住宅
こうだんじゅうたく

都市再生機構が供給する集団住宅。賃貸住宅,分譲住宅,賃貸用特定分譲住宅の3種類がある。

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リフォーム用語集 「公団住宅」の解説

公団住宅

日本住宅公団が供給した住宅の事。賃貸型(集合住宅)と分譲型(一戸建・集合住宅)があるが、主に賃貸型の集合住宅の事を言う。

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世界大百科事典(旧版)内の公団住宅の言及

【住宅政策】より

…なお住宅事情の国際比較については〈住宅問題〉の項目を参照されたい。
[日本の住宅政策の特徴]
 日本は第2次大戦後の復興期から高度成長期にかけ,公営住宅・公団住宅・公社住宅(地方住宅供給公社法による住宅)などの制度を整備し,公共賃貸住宅の供給に重点をおいた政策を展開してきた。ところが高度成長期後半から石油危機(1973)以後今日にかけ,住宅金融公庫の融資による持家助成の政策に大きく傾斜してきた。…

【台所】より

…【大河 直躬】
[ダイニングキッチン]
 台所に相当する英語はキッチンkitchenで,ドイツ語キュッヘKüche,フランス語キュイジーヌcuisineなども含め語源は中世ラテン語で料理,台所を意味するcoquinaである。日本では1955年に公団住宅が生まれた際に,台所をK,板張りの部屋に炊事の設備のついたものをDK(ダイニングキッチン)と表示し,2部屋とDKを間取りとする2DKがひとつの基準とされた。DKはダイニングルーム(食堂)とキッチンの併合を意味するものであるが(英語ではkitchen‐dining‐room),公団住宅の場合はわずか8m2程度で,スペースの節約を目的としたものであり,テーブルを備え付けて洋式の使い方を強いた時期もあった。…

※「公団住宅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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