拾玉集(読み)しゅうぎょくしゅう

精選版 日本国語大辞典 「拾玉集」の意味・読み・例文・類語

しゅうぎょくしゅう シフギョクシフ【拾玉集】

私家集。鎌倉初期の歌人慈円詠歌南北朝時代尊円法親王が編纂したもの。嘉暦三年(一三二八)百首歌部分が成立貞和二年(一三四六)追補完成。七巻から成り、約四〇〇〇首の歌をほぼ年代順に収めてある。部分的に仏教思想の上にたった歌論が記され、歌学史的にも注目される。伝本により内容に差がある。六家集の一つ。しゅぎょくしゅう。

しゅぎょくしゅう シュギョクシフ【拾玉集】

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デジタル大辞泉 「拾玉集」の意味・読み・例文・類語

しゅうぎょくしゅう〔シフギヨクシフ〕【拾玉集】

室町前期の私家集。5巻または7巻(流布本)。慈円の詠歌を尊円法親王が編。正平元=貞和2年(1346)成立。歌数約5900首。仏教的色彩の濃い歌が多い。六家集の一。しゅぎょくしゅう。

しゅぎょくしゅう〔シユギヨクシフ〕【拾玉集】

しゅうぎょくしゅう(拾玉集)

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改訂新版 世界大百科事典 「拾玉集」の意味・わかりやすい解説

拾玉集 (しゅうぎょくしゅう)

慈円の家集で,鎌倉最末期から1346年(貞和2)にかけて青蓮院(しようれんいん)尊円親王集成。同親王の命により慶運が編纂したともいう。六家集の一つで,5巻本(5917首)と7巻本(流布本,4613首)とがある。前者には青蓮院本ほかの善本が存し,和歌配列はほぼ年代順で,慈円の全歌集にちかい。歌風は平易な詞を用いてのびやかであり,新しい趣向を好んで仏教的な述懐歌に特色がみられる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「拾玉集」の意味・わかりやすい解説

拾玉集
しゅうぎょくしゅう

慈円(じえん)の家集。編者尊円入道親王。5巻または7巻。1346年(正平1・貞和2)成立。六家集の一つ。慈円の手元に遺(のこ)された詠草を原資料として、慈円の没後100年余を経た1328年(嘉暦3)百首歌の類聚(るいじゅう)が成り、さらに18年後その他の部分を増補して完成した。その本は五巻本と思われ総歌数5900首余(題歌や他人歌を含む)であるが、なお未収の百首歌3種、五十首歌1種などが別に伝わる。

 一方、七巻本も成立過程で生じた異本らしいが、総歌数は五巻本より少なく、相互に出入りもある。『拾玉集』は『新古今集』入集歌数第2位(92首)の歌人慈円研究の根本資料であるが、新古今風から外れた自由奔放な詠風もみられる。

[藤平春男]

『多賀宗隼編『校本拾玉集』(1966・吉川弘文館)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「拾玉集」の意味・わかりやすい解説

拾玉集
しゅうぎょくしゅう

鎌倉時代の僧慈円の私家集。「しゅぎょくしゅう」とも読む。尊円入道親王編。5巻または7巻。正平1=貞和2 (1346) 年成立。約 4600首を収める。六家集の一集で,最も歌数が多い。仏教思想に基づく作品は注目される。

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