六議(読み)リクギ

デジタル大辞泉 「六議」の意味・読み・例文・類語

りく‐ぎ【六議】

律令制で、刑の減免など刑法上の特典を受ける六種資格天皇皇后などの親族である議親、天皇と特別の関係を持つ議故、特に徳行のある議賢、特に才能のある議能、特に勲功のある議功、三位以上の官人である議貴の六種。→八議

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精選版 日本国語大辞典 「六議」の意味・読み・例文・類語

りく‐ぎ【六議】

〘名〙 律で、刑法上の特典を受ける六種の資格。議親・議故・議賢・議能・議功・議貴の総称。〔律(718)〕

ろく‐ぎ【六議】

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改訂新版 世界大百科事典 「六議」の意味・わかりやすい解説

六議 (ろくぎ)

日本律の適用に際し,〈議〉という特典をうける6種類の身分上の資格。すなわち議親(天皇の一定範囲の血族姻族),議故(天皇の多年側近で,特別な待遇をうけている者),議賢(賢人君子で徳行の大なる者),議能(大政治家として優れた能力をもつ者),議功(軍人や海外使節として功績顕著なる者),議貴(三位以上の者)をいう。日本律の六議は,唐律の八議のうち,第7の議勤を第5の議功に併せ,かつ第8の議賓を削って六議としたものである。なお唐律の八議は,《周礼》の八辟に由来する。〈議〉とは死罪を犯した場合,大納言以上,および刑部卿等が太政官で集議することを奏請し,その裁可があれば集議を開いて,その結果をさらに上奏して天皇の最終判断にゆだね,流罪以下を犯した場合は,1等を減ずるという特典である。ただし八虐の罪は〈議〉を適用しない。六議の者はこの〈議〉を与えられ,また拷問することを禁じられるなど,訴訟手続上も,特典を与えられる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「六議」の意味・わかりやすい解説

六議
りくぎ

大宝,養老の名例律にみえる刑事法上の特権を与えられる6つの資格。 (1) 議親,(2) 議故,(3) 議賢,(4) 議能,(5) 議功,(6) 議貴に分れ,皇族,高位者,国家皇室に対する功労者がこれに該当している。日本律の母法である唐律においては八議であったが,日本律編纂者は,議勤,議賓の2項目を削っている。議とは,その者が死刑にあたる罪を犯した場合に,裁判官は,事実を明らかにし,それに該当する刑を指摘するが,なお判決を下さず,天皇に奏上し,さらに太政官の会議に付して,奏裁によって刑を定める手続をいう。「刑ハ大夫ニ及ハス」の思考より生じた特殊刑事手続である。なお六議の人は,このほかにも,流罪以下は,1等を減じられ,また審理手続,拘禁手続などにおいても,さまざまな特例が認められていた。 (→八虐 )

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