改訂新版 世界大百科事典 「共同印刷争議」の意味・わかりやすい解説
共同印刷争議 (きょうどういんさつそうぎ)
1926年(昭和1)1~3月,東京小石川の共同印刷でおきた労働争議。同社を拠点とする日本労働組合評議会(評議会)出版労働組合は,〈評議会の常勝軍〉の異名をとるほど戦闘性・左翼性で勇名をはせていた。会社側はその勢力一掃を企て,1月に経費節減の名目で操業短縮を命じ,これをきっかけとして60日間に及ぶ争議が始まった(労働者の大半の約2000人が参加)。評議会の指導下に,組合側は〈アジト〉を設け,〈細胞〉を組織し,他組合の支援をうけて奮闘したが,労働者の足並みが乱れ,ついに争議団全員1180人の解雇という惨敗に終わった。徳永直《太陽のない街》(1929発表)は,同争議の体験にもとづく小説である。
執筆者:三宅 明正
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報