企業が不況や販売不振などの苦況に対処するため、生産活動を縮小すること。操短と略称する。その方法は、短期的なものと長期的なものに大別される。短期的操短は、操業度(設備稼働率)を落とす方法によるが、それにはさらに、8時間操業を6時間操業にするような設備利用時間を短縮する方法と、機械の回転速度を落とすような設備利用強度を下げる方法があり、両者の併用も可能である。前者の時間短縮は、一時帰休や部分解雇を伴うことがある。
長期的操短は、設備そのものを減少させて企業規模を縮小する方法であり、解雇を伴うのが普通である。短期と長期の中間的措置として、一時的な全面操業休止がある。
操短は、設備と人員の遊休部分を生じるから、労働生産性を低下させ、コスト上昇を招く。この影響は、装置産業のような資本装備の高い企業ほど顕著に現れる。操短によっても苦況が改善しなければ、廃業に至ることが多い。
操短は、個別企業のみでなく、企業間協定(カルテル)によって行われることがある。このような共同操短は、競争を制限する行為として、独占禁止法(昭和22年法律第54号)によって禁止されている。
[森本三男]
不況によって生産過剰となり,製品の価格低下が著しい場合に,業界の大部分の企業がいっしょに操業時間の短縮や生産設備の一部閉鎖を行うことで,略して操短という。操業短縮の目的は生産の制限によって価格低下を防ぎ,企業利潤の減少を止めることにあり,各社の申合せによって行われる場合が多い。
第2次大戦前,日本では紡績連合会をはじめ,いろいろな業界で,不況のたびに操業短縮が行われていた。しかし,戦後,独占禁止法の施行によって,協定による操業短縮はカルテルとして禁止された。ところが,1952年の綿紡績業界など通産省の勧告に基づく操業短縮が何回も行われた。また,独占禁止法も53年の改正によって,深刻な不況下では操業短縮協定などの生産制限協定は不況カルテルとして認められるようになった。
なお,政府の勧告による操業短縮を勧告操短といい,業界が話合いで行うものを自主操短という。また,勧告操短については,通産省は国会で〈原則として行わない〉ことを明らかにしており,自主操短が原則になっている。
執筆者:下田 雅昭
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…経済界の不況や企業の業績の悪化によって滞貨ができ,商品の価格が下落すると,生産機械の一部操業中止またはスピードダウンを行って生産を抑えるいわゆる操業短縮(操短)が,個々の企業であるいは業界の申合せで行われる。また収支状況の悪化に対処するため,経費の削減を図る必要に迫られる。…
※「操業短縮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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