操業短縮(読み)ソウギョウタンシュク(その他表記)reduction of operation

デジタル大辞泉 「操業短縮」の意味・読み・例文・類語

そうぎょう‐たんしゅく〔サウゲフ‐〕【操業短縮】

生産過剰による価格下落を防ぐために、企業が操業時間の短縮や生産設備の運転休止を行い、生産数量を低下させること。操短

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精選版 日本国語大辞典 「操業短縮」の意味・読み・例文・類語

そうぎょう‐たんしゅくサウゲフ‥【操業短縮】

  1. 〘 名詞 〙 企業が生産過剰による価格の低落を防ぐために、生産設備の一部閉鎖または操業時間の短縮などによって生産を制限すること。操短。
    1. [初出の実例]「生産制限を拡大して糸価の低落を支持すべく操業短縮増率問題起り」(出典:報知新聞‐明治四四年(1911)一一月一三日)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「操業短縮」の意味・わかりやすい解説

操業短縮
そうぎょうたんしゅく
reduction of operation

企業が不況や販売不振などの苦況に対処するため、生産活動を縮小すること。操短と略称する。その方法は、短期的なものと長期的なものに大別される。短期的操短は、操業度(設備稼働率)を落とす方法によるが、それにはさらに、8時間操業を6時間操業にするような設備利用時間を短縮する方法と、機械の回転速度を落とすような設備利用強度を下げる方法があり、両者の併用も可能である。前者の時間短縮は、一時帰休や部分解雇を伴うことがある。

 長期的操短は、設備そのものを減少させて企業規模を縮小する方法であり、解雇を伴うのが普通である。短期と長期の中間的措置として、一時的な全面操業休止がある。

 操短は、設備と人員の遊休部分を生じるから、労働生産性を低下させ、コスト上昇を招く。この影響は、装置産業のような資本装備の高い企業ほど顕著に現れる。操短によっても苦況が改善しなければ、廃業に至ることが多い。

 操短は、個別企業のみでなく、企業間協定カルテル)によって行われることがある。このような共同操短は、競争を制限する行為として、独占禁止法(昭和22年法律第54号)によって禁止されている。

[森本三男]

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改訂新版 世界大百科事典 「操業短縮」の意味・わかりやすい解説

操業短縮 (そうぎょうたんしゅく)

不況によって生産過剰となり,製品の価格低下が著しい場合に,業界の大部分の企業がいっしょに操業時間の短縮や生産設備の一部閉鎖を行うことで,略して操短という。操業短縮の目的は生産の制限によって価格低下を防ぎ,企業利潤の減少を止めることにあり,各社の申合せによって行われる場合が多い。

 第2次大戦前,日本では紡績連合会をはじめ,いろいろな業界で,不況のたびに操業短縮が行われていた。しかし,戦後独占禁止法施行によって,協定による操業短縮はカルテルとして禁止された。ところが,1952年の綿紡績業界など通産省の勧告に基づく操業短縮が何回も行われた。また,独占禁止法も53年の改正によって,深刻な不況下では操業短縮協定などの生産制限協定は不況カルテルとして認められるようになった。

 なお,政府の勧告による操業短縮を勧告操短といい,業界が話合いで行うものを自主操短という。また,勧告操短については,通産省は国会で〈原則として行わない〉ことを明らかにしており,自主操短が原則になっている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「操業短縮」の意味・わかりやすい解説

操業短縮
そうぎょうたんしゅく
reduction of operation; curtailment of operation

操短と略称される。製品の生産過剰,それによってもたらされる価格の低落,利潤の減少を防ぐために,企業が生産設備の稼働時間の短縮,一部設備の閉鎖を行うこと。通常は同一部門の企業が合同で行う。第2次世界大戦後,独占禁止法によって禁止されたが,1953年同法の改正に伴い,公正取引委員会の認可を受けることになった。その実施形態により,経済産業省の行政指導によってなされる勧告操短,業界の話合いだけでなされる自主操短,生産設備の一部を閉鎖し封印する封印操短などがある。

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百科事典マイペディア 「操業短縮」の意味・わかりやすい解説

操業短縮【そうぎょうたんしゅく】

操短と略す。企業が作業時間の短縮や生産設備の休止などによって,生産量を制限すること。特に不況期の生産過剰,経営不振の場合に行われる。生産カルテルでは操短率を一定に決め,生産設備の封緘(ふうかん)などによって実施することが多い。→操業度

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世界大百科事典(旧版)内の操業短縮の言及

【雇用調整】より

…経済界の不況や企業の業績の悪化によって滞貨ができ,商品の価格が下落すると,生産機械の一部操業中止またはスピードダウンを行って生産を抑えるいわゆる操業短縮(操短)が,個々の企業であるいは業界の申合せで行われる。また収支状況の悪化に対処するため,経費の削減を図る必要に迫られる。…

※「操業短縮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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