兵士シュベイクの冒険(読み)へいししゅべいくのぼうけん(英語表記)Osudy dobrého vojáka Švejka za světové války

日本大百科全書(ニッポニカ) 「兵士シュベイクの冒険」の意味・わかりやすい解説

兵士シュベイクの冒険
へいししゅべいくのぼうけん
Osudy dobrého vojáka Švejka za světové války

チェコスロバキアの作家ハシェクの長編小説。1921~23年作。原題は『よき兵士シュベイクの世界戦争中の運命』。オーストリアの支配下にあったチェコで、低能と判定された主人公シュベイクは一兵士として召集されるが、徹底した順応主義、無抵抗主義と持ち前の弁舌で、数多くの難関を切り抜ける。基本的には一種の受難物語であるが、軍隊組織や官僚制度を極度に風刺愚弄(ぐろう)した内容で、主人公によるまったく愚直な態度での権威肯定が、そのまま権威を否定する効果を得る。民衆的知恵と抵抗精神を描くこの作品は、文章も多彩で、ユーモア生気に富むことで知られている。

飯島 周]

『栗栖継訳『兵士シュヴェイクの冒険』全四冊(岩波文庫)』

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兵士シュベイクの冒険
へいしシュベイクのぼうけん
Osudy dobrého vojáka Švejka za světové války

チェコの小説家ヤロスラフ・ハシェクのユーモア反戦小説。1921年から 1923年の作者の死まで書き続けられた長編。未完。1923年刊。一見愚鈍にみえるが健全な理性をもつ二等兵のシュベイクが,上官命令を忠実に守ることによって戦争の愚かしさを浮き彫りにする。

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