其奴(読み)ソイツ

デジタル大辞泉 「其奴」の意味・読み・例文・類語

そ‐いつ【×奴】

[代]《「そやつ」の音変化》
三人称人代名詞相手に近い人、または話題の人をぞんざいにいう語。「其奴はだれだ」
中称の指示代名詞。相手に近いもの、または話題のものをぞんざいにいう語。「其奴を取ってくれ」「其奴はありがたい」
[類語]あいつ彼氏彼女此奴こやつこいつ其奴そやつ彼奴かやつきゃつやつやっこさんこの方この人その方その人あの方彼方あちらあの人

そ‐やつ【×奴】

[代]三人称の人代名詞。相手に近い人、また話題の人をののしったりするのに用いる。そいつ。「其奴のしわざだ」
[類語]彼氏彼女此奴こやつこいつそいつ彼奴かやつきゃつあいつやつやっこさんこの方この人その方その人あの方彼方あちらあの人

す‐やつ【×奴】

[代]《「そやつ」の音変化》三人称の人代名詞。そいつ。しゃつ。
「―はいづち行くとも、よくありなむや」〈落窪・二〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「其奴」の意味・読み・例文・類語

そ‐いつ【其奴】

  1. 〘 代名詞詞 〙 ( 「そやつ」の変化した語 )
  2. 他称。相手側の人、または話題の人をさす(中称)。人をいやしめたり、ぞんざいにいったりする言い方。
    1. [初出の実例]「タトイ ヲウカメガ キタリトモ soitçumeuoba(ソイツメヲバ) ウチコロイテ カワヲ ハイデ ノキョウゾト ユウニ ヨッテ」(出典:天草本伊曾保(1593)狼と子を持った女の事)
    2. 「この計画をかぎつけていた者が村にいて、そいつが別の組をつくって一足先に出発して」(出典:静物(1960)〈庄野潤三〉八)
  3. 他称。相手側の事物、または話題の事物をさし示す(中称)。
    1. [初出の実例]「『ひとりまへ六十四文』『そいつは高い』」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)二)
    2. 「輿を人形屋へ誂へて〈略〉そいつを牛車(うしぐるま)にのせて」(出典:滑稽本浮世床(1813‐23)初)

そ‐やつ【其奴】

  1. 〘 代名詞詞 〙 他称。相手側の人、または話題の人をののしったり乱暴にいったりするのに用いる。そいつ。
    1. [初出の実例]「先づ、そやつめを引立て来れと、一間へ入れば家来ども、石屋の親父をむりやりに」(出典:浄瑠璃・一谷嫩軍記(1751)三)

す‐やつ【其奴】

  1. 〘 代名詞詞 〙 ( 「そやつ」の変化した語 ) 他称。軽んじて用いる中称。
    1. [初出の実例]「すやつはいづち行くとも、よくありなんや。今逢ふとも、我らが子ども、いかがせん」(出典:落窪物語(10C後)二)

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