デジタル大辞泉 「奴さん」の意味・読み・例文・類語 やっこ‐さん【▽奴さん】 [名]折り紙で、奴2の形に折るもの。俗曲。江戸末期に願人坊主が踊り歌として広め、のちに寄席や花柳界で流行した。踊りを伴うことが多い。[代]三人称の人代名詞。同等以下の人を軽んじたり、親しみを込めたりしていう語。あいつ。やつ。「奴さん、最近元気がないね」[類語]彼・彼氏・彼女・此奴こやつ・こいつ・其奴そやつ・そいつ・彼奴かやつ・きゃつ・あいつ・奴やつ・この方・この人・その方・その人・あの方・彼方あちら・あの人 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
日本大百科全書(ニッポニカ) 「奴さん」の意味・わかりやすい解説 奴さんやっこさん 寄席(よせ)や花柳界で流行した舞踊音楽。幕末期、江戸の町を徘徊(はいかい)した願人坊主(がんにんぼうず)の芸に、『伊勢(いせ)音頭』というのがあった。今日の民謡『伊勢音頭』の歌詞に続いて、「奴さんどちら行く」と歌うのである。同時に、踊りも見せていた。この後半の部分が独立して座敷化し、さらに『姉(あね)さん』や『船頭さん』といった替え歌も生まれた。近年では、落語家桂(かつら)小文治が軽妙な踊りを高座で見せた。[倉田喜弘] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例