天然の繊維あるいは高分子をいったん溶解して細いノズルから紡糸して繊維としたものをいう。ビスコースレーヨン,銅アンモニアレーヨン,ポリノジックレーヨン,アルギネート繊維,カゼイン繊維が代表的である。レーヨンはセルロース(繊維素)から成る木材パルプやコットンリンターを原料とし,反応させ溶解後,元のセルロースに繊維の形で戻す。アルギネート繊維は,主としてスコットランドやアイルランドでとれる赤紫色の海藻(コンブ類)を原料として作られる。これを
乾燥,粉砕後,炭酸ナトリウムと苛性ソーダ溶液で処理すると,多糖類のアルギン酸中のカルボキシル基-COOHの水素Hがナトリウムと置換してアルギン酸ナトリウムとなり溶解する。この溶液を,塩化カルシウムを含む凝固浴へ押し出すと,不溶のアルギン酸カルシウムから成る繊維が得られる。アルギネート繊維は,靴下を連続して製造するとき,あとで切り離すための靴下と靴下の間のステッチに使われる。カゼイン繊維は牛乳中のタンパク質を取り出し繊維化したものである。
執筆者:瓜生 敏之
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繊維を分類すると天然繊維と化学繊維に大別されるが、化学繊維のうちの再生繊維は、天然に存在する繊維素(セルロース)、タンパク質などの天然高分子物質を、適当な溶媒に溶解させて紡糸したものである。または溶媒に可溶な天然高分子の誘導体にしてから紡糸したのち、化学処理によって元の高分子物質に変換した繊維をいう。前者の例として、繊維素を銅アンモニア溶液に溶かして水中に紡糸するキュプラ、後者には、繊維素を水酸化ナトリウムと二硫化炭素で処理したものを、硫酸浴中に紡糸するビスコースレーヨンがある。紡糸したあと糸を適当に切断すればステープルファイバー(スフ)になり、紡糸浴での凝縮再生の際にスキン層の厚さを不均一にさせることによって、捲縮(けんしゅく)を発生させる。スキン層の厚いほうにとくにひずみがかかっているので、糸を切断して無緊張で温水に浸(つ)けると、スキン層の厚いほうが捲縮したスフになり、保温性がよくなる。以前はタンパク質のカゼインからつくられたカゼイン繊維などもつくられたことがある。
[垣内 弘]
天然に存在するセルロース,タンパク質などの高分子物質を,適当な溶媒に溶解させて紡糸するか,または溶媒に可溶な誘導体にしてから紡糸した後,化学処理によってもとの高分子物質に変換した繊維をいう.ビスコースレーヨン,銅アンモニアレーヨン(キュプラ法),けん化アセテートなどの再生繊維がある.カゼイン繊維,ゼイン繊維なども知られている.[別用語参照]化学繊維
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…人造繊維ともいうが,これは狭義には合成繊維を除いた人工的な繊維に使われる。化学繊維は,合成繊維,半合成繊維,再生繊維,無機繊維に分類される。表に化学繊維の分類を示す。…
※「再生繊維」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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