民間に古くから伝わる健康法の一つで、冷たい水につけたタオルや手拭(てぬぐい)を絞って、体をよくマッサージ(冷水マッサージ)することをいう。マッサージは、手や足の末梢(まっしょう)から中枢方向へ皮膚表面をこするようにし、摩擦熱で皮膚が赤みを帯びるようになるまで続ける。これによって、生体は皮膚からの刺激を受けることとなる。また、手が力強く動くことによって、筋における熱産生量が増加し、体温も高まってくる。冷水摩擦は、乾布摩擦と同様、皮膚表面に近い血管の収縮を鋭敏にして、環境の変化、とくに寒さに対して放熱を速やかに防ぐような生体反応の能力を高めることを主たる目的としている。本来、体温を調節する神経系は視床下部の支配を受けており、皮膚表面に近い血管の収縮もその支配下にあると考えられている。したがって、寒さに対して速やかに反応するということは、皮膚表面に近い血管をすばやく収縮させるような命令が発せられたとき、その命令を受けて生体がただちに反応するということである。また、生体の調節は、命令に対する反応がどの程度働いているかを中枢に連絡するような仕組みになっているため、冷水摩擦による皮膚への冷たさとマッサージの刺激は、中枢へも影響を与えているといえる。心臓から送り出された動脈血は、まず心臓によるポンプの圧力で血管の中を各臓器組織へ移動するが、その後の移動は骨格筋の収縮など比較的弱い力に依存しているため、マッサージを行うことによって、この移動はよりスムーズとなる。
このほか、冷水摩擦には、気分を引き締めたり、寒さに立ち向かうなどの心理的効果も期待される。また、日常生活のなかに組み込めば生活を規則正しくすることにもなるし、健康維持にも役だつ。1日の時間帯でみれば、風呂(ふろ)上がりに行ったときは湯冷めの防止と体力消耗の予防となり、朝の起床時に行ったときは神経を早く覚醒(かくせい)させ、体をより早く活動状況へと導入することとなる。なお、冷水摩擦は、不慣れな人や病弱者にとっては刺激が強すぎるため、夏の時期からすこしずつ慣れさせて行うなどの配慮が必要である。
[小野三嗣]
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