翻訳|towel
輪奈織(わなおり)の一種で,浴布などに用いる織物をいうが,一般にはこの布地を用いた手ぬぐいをタオルと称している。名称は中世フランス語のtoaille(洗い,ふくための布)に由来する。テリー・クロスterry clothともいうが,terryは〈引き出す〉という意味をもつフランス語tirerからきたことばで,布糸を引き出して輪奈を作ることからつけられた名称である。布面に輪奈を織り出すにはパイル経(たて)と地経(じたて)を別々に経巻きをして二重に機仕掛(はたじかけ)をし,パイル経糸の張力を弱くして地経糸との張力の差と筬打(おさうち)方法,組織等の違いで輪奈状のパイルを作る。地組織は平織か綾織である。片面パイルと両面パイルがあり,パイル経には甘撚(あまより)糸を使うので,肌ざわりが柔軟で吸湿性に富む。浴用タオル,バスタオルのほか,タオルケット,シーツ,ベッドカバー等の寝具類,クッション,敷物など室内装飾品,肌着,ゆかた,バスローブ,寝衣など広範囲に使われる。タオル地には白無地,縞,紋,プリントのほか,風通タオル(表裏の輪奈の色が異なる),シャリングタオル(片面が輪奈,片面がカットループで捺染などをしたもの),ネルタオル(片面がタオル,片面がネル起毛のもの)などがある。また,輪奈織でなくタオルと呼ぶものに,亜麻や綿を使ってハッカバック織,斜子(ななこ)織にしたグラスタオル(ループのない平面タオル)があり,ガラス食器などのふきんとして毛羽(けば)がつかなくてよいとされる。綿のほか,麻,レーヨン,合繊糸を使ったタオルも作られる。愛媛県の今治を主に,大阪の泉佐野,東京都の青梅などが産地として知られる。
執筆者:宮坂 博文
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
タオルとはスペイン語のtoallaからきたもので浴布のことをさすが、浴布にはグラス・タオルglass towelling、ハッカバック織huckaback towelling、蜂巣(はちのす)織などがあるので、テリー織terry clothのタオルに限定している現在では、これらをターキッシュ・タオルTurkish towelとよぶこともある。織物組織は、布の片面あるいは両面に輪奈(わな)の毛羽が出ていて一種の添毛(そえげ)織物に属するものである。このような織物技法は古くからあり、コプト裂(ぎれ)やプレ・インカ裂にもみられるが、1811年にフランスで絹を使った織物が現れてから盛んになった。現在の材質は大部分が綿であるが、化合繊のものも多くなりつつある。特性はパイルがあるため吸水性や通風性に富んでおり、多くは手拭(てぬぐい)用として用いるほか、タオル地として製織されるものは、湯上がりのガウン、寝巻、ビーチウエア、夏掛けぶとん(タオルケット)に使用される。
[角山幸洋]
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