森林の土地所有者と造林または保育を行う2者、あるいはこれらに費用負担者を加えた3者で契約を結び、造林や保育(主として間伐)等を行い、伐採時に得られた収益を一定の割合で分け合う森林のこと。分収林とは、分収造林と分収育林の総称である。前者は造林時に、後者は若齢林(要間伐林)に対して分収契約を行うものである。
分収造林の歴史は古く幕藩期に始まり、1920年(大正9)から1961年(昭和36)までは官行造林(国による造林)、1961年からはこれにかわって公団造林(森林開発公団を費用負担者とする造林。組織統合・廃止を経て、現在は森林研究・整備機構森林整備センターが事業継承)が推進されており、また1959年からは公社造林(各府県の造林公社・林業公社による造林)も行われた。公社・公団による公営造林(機関造林)は、外材体制下で民有林業が後退する1960年代以降著しい伸展がみられたが、低成長期に入ると、借入金累積による公社・公団の財政悪化が進み、造林面積も減少に転じた。この打開策として、1983年から公社の森林整備法人への転換が図られるとともに、成育途上林に都市住民などの資金提供を求める分収育林制度が正式に発足したが、財政問題は依然深刻化しており、林業公社の解散がみられるなかで、見直しが行われている。
[野口俊邦]
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