抵抗,キャパシタンス,インダクタンスなどの回路要素が分布して存在しているとして扱った回路。集中定数回路の対。長い送電線,高周波回路などで,長さが波長に比べて十分短くない回路,大地や電解液中などに電流が広がって流れる回路などは,集中定数回路で近似すると誤差が大きくなり,特有の現象が説明できなくなるので,分布定数回路として扱う。分布定数回路として理論的に扱うことにより,電流や電圧が波として伝わり,反射,透過,吸収が起こることを表現でき,これらの結果として発生する定在波や波形の歪などが正確に計算できる。高周波回路では伝送線路の特性インピーダンスや,有限長線路の一端にインピーダンスをつけたとき,他端から見たインピーダンスがどうなるかは,信号,電力の伝達上きわめて重要な問題で,これらにも分布定数回路理論が解を与えてくれる。分布定数回路に特有な現象は数多くあるが,例えば無損失線路で長さが波長の1/4ものは,一端を短絡して他端から見ると開放に相当し,一端を開放すれば短絡に見えるという性質がある。これも理論的に容易に導かれる。
執筆者:曾根 悟
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線路に高周波を流し回路とするとき、回路の要素が一様に分布しているものをいう。伝送線路、同軸ケーブル、導波管などにはインダクタンス、キャパシタンス(静電容量)、漏れ抵抗が分散して存在し、これらによって電圧や電流が位置に対応して分布する。このような回路を取り扱う場合には、回路の要素が1か所に集まっているラジオ回路とか変圧器のように、集中定数の考え方は適用できない。したがって線路の単位長さ(普通は1メートル)ごとのインダクタンス、抵抗、キャパシタンス、リーカンス(漏れ抵抗の逆数)などの回路定数が線路に一様に分布しているものとして、解析、設計などを行う。この回路定数を分布定数といい、その回路を分布定数回路という。ただし、線路であっても交流の波長に比べて短い場合は、集中定数回路として扱っている。電気回路でも、送電線のように波長に比べて非常に長い回路では、無限長線路と考えてよく、分布定数回路となる。したがって、線路の特性インピーダンスとか、そのほかの定数などを分布定数から算定することができる。
[岩田倫典]
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…遅延回路に要求される特性は,信号の周波数帯域の範囲で平たんな振幅特性と一定の遅延時間をもつことである。従来はLC回路を多段に接続した集中定数回路と,丸棒の鉄心にコイルを巻き外部導体をかぶせた分布定数回路が用いられてきた。最近は信号を時間的にサンプリングして,多段の電荷転送素子(CCD)を通して遅延させるCCD遅延回路が用いられるようになり,画期的な小型化が可能となった。…
※「分布定数回路」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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