別海(読み)べつかい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「別海」の意味・わかりやすい解説

別海(町)
べつかい

北海道東部、根室(ねむろ)振興局管内の町。根室海峡に面する。町名はアイヌ語「ベッカイエ」(折れ曲がった川)に由来。1971年(昭和46)町制施行。国道243号、244号、272号が通じるが、JR標津(しべつ)線は1989年(平成1)廃止された。元禄年間(1688~1704)から漁業で開け、松前藩の「場所」が置かれた。1869年(明治2)本州からの90余人の入植者により開拓が始まった。1957年以来のパイロットファーム酪農化が進行し、新酪農村事業の中核として未曽有(みぞう)の耕地交換分合を成し遂げた。農家数761、農地約6万3500ヘクタール、乳牛約10万頭、肉牛約7600頭(2015)。漁業はサケ漁や野付(のつけ)湾でのエビ、ホタテ漁などが行われる。乳製品・水産物加工の食品工場も多い。観光地としては砂嘴(さし)の野付半島ハクチョウが飛来する尾岱沼(おだいとう)(野付湾)や風蓮湖(ふうれんこ)などがあり、野付風蓮道立自然公園に指定されている。さらには、「風蓮湖・春国岱(しゅんくにたい)」「野付半島・野付湾」は2005年(平成17)に、ラムサール条約登録湿地となった。面積1319.63平方キロメートル(風蓮湖を除く)、人口1万4380(2020)。

[進藤賢一]

『『別海町百年史』2巻(1978・別海町)』


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改訂新版 世界大百科事典 「別海」の意味・わかりやすい解説

別海[町] (べつかい)

北海道東部,根室支庁野付郡の町。1971年町制。人口1万5855(2010)。面積は1320km2(1996)で全国の市町村中でも足寄(あしよろ)町に次ぎ,町制施行以前は日本最大面積の村であった。地名はアイヌ語の〈ペッ・カイ(川が・折れている)〉に由来するといわれているが,定かではない。東は根室海峡と根室湾に面し,根釧(こんせん)台地東部を占め,西別川など大小の河川が東流する。中心は西別川中流沿いの別海で,国道243号線が通じる。元禄年間(1688-1704)から漁場として開け,明治初期には和人の漁業集落が形成された。後期には西別川流域を中心に内陸部の開拓が進められたが,冷害など厳しい自然条件のもとで一進一退を続けた。第2次大戦後は酪農へ転換,パイロット・ファームなどの大規模開拓を行い,北海道酪農の中心地の一つとなった。現在も酪農と漁業の町で,1戸当りの平均乳牛飼養頭数は96頭(1990)に及ぶ。漁業は西別川河口の本別海(ほんべつかい),野付崎に抱かれた尾岱沼(おだいとう)などを基地として,サケ・マスなどの定置網漁業とエビ,ホタテガイ,カレイなどの小型船漁業が行われる。海岸部には野付崎,尾岱沼,風蓮湖など風光の地が多く,一帯は野付風蓮道立自然公園の中心をなす。
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百科事典マイペディア 「別海」の意味・わかりやすい解説

別海[町]【べっかい】

北海道東部,野付(のつけ)郡の町。広大な根釧(こんせん)台地を占める。パイロット・ファームなどの大規模開拓が行われ,北海道酪農の中心地となった。乳牛の飼育など酪農が盛んで,生乳を多産。漁業は,サケ,マスの定置網漁業やホタテ,ウニ,カレイの漁船漁業を行う。野付崎,尾岱沼(おだいとう),風蓮湖など風光の地が多い。2005年に風蓮湖・春国岱がラムサール条約登録湿地となる。1319.63km2。1万5855人(2010)。

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