別海(読み)べつかい

改訂新版 世界大百科事典 「別海」の意味・わかりやすい解説

別海[町] (べつかい)

北海道東部,根室支庁野付郡の町。1971年町制。人口1万5855(2010)。面積は1320km2(1996)で全国の市町村中でも足寄(あしよろ)町に次ぎ,町制施行以前は日本最大面積の村であった。地名はアイヌ語の〈ペッ・カイ(川が・折れている)〉に由来するといわれているが,定かではない。東は根室海峡根室湾に面し,根釧(こんせん)台地東部を占め,西別川など大小の河川が東流する。中心は西別川中流沿いの別海で,国道243号線が通じる。元禄年間(1688-1704)から漁場として開け,明治初期には和人漁業集落が形成された。後期には西別川流域を中心に内陸部の開拓が進められたが,冷害など厳しい自然条件のもとで一進一退を続けた。第2次大戦後は酪農へ転換,パイロット・ファームなどの大規模開拓を行い,北海道酪農の中心地の一つとなった。現在も酪農と漁業の町で,1戸当りの平均乳牛飼養頭数は96頭(1990)に及ぶ。漁業は西別川河口の本別海(ほんべつかい),野付崎に抱かれた尾岱沼(おだいとう)などを基地として,サケ・マスなどの定置網漁業とエビ,ホタテガイ,カレイなどの小型船漁業が行われる。海岸部には野付崎,尾岱沼,風蓮湖など風光の地が多く一帯は野付風蓮道立自然公園の中心をなす。
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