野付半島(読み)ノツケハントウ

日本歴史地名大系 「野付半島」の解説

野付半島
のつけはんとう

知床しれとこ半島と根室半島の中間地点、根室海峡中央部の野付水道に突出する鉤状分岐砂嘴。先端部を野付崎ともいう。野付風蓮のつけふうれん道立自然公園に含まれる。大部分は野付郡別海べつかい町に属するが基部は標津しべつ標津町に所属。灯台のある竜神りゆうじん崎から西に湾曲し、野付湾を囲んでいる。基部から先端まで長さ約二八キロ、幅は最狭部で一三〇メートル、標高は六メートル以下。近世の文献には「ノツケハ茅原ニシテ記スヘキ者ナシ、其他沿海ノ地皆平坦ニシテ雑草ノミト思ハル」(「観国録」安政三年八月二四日条)とか、「ノツケト云フ所ハ入江ニテ周回十四五里モアリテ是又眺望宜シク弁才船位ハ掛ルベシ」(玉虫「入北記」安政四年八月一五日条)などとある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

百科事典マイペディア 「野付半島」の意味・わかりやすい解説

野付半島【のつけはんとう】

北海道標津町,根室海峡に突き出た典型的な砂嘴(さし)。先端までの長さは約28kmにもなり,その規模は日本最大。地盤沈下により海水に浸されて立ち枯れた森林が,〈トドワラ〉〈ナラワラ〉と呼ばれる景観を形成する。また,ハマナスの大群落でも有名。先端部には野付崎があり,半島に抱かれた海域は野付湾で,海流の影響が少ないため広大な藻場となっており,多様な動植物の生息地となっている。野付湾とともに2005年11月,ラムサール条約登録湿地となる。
→関連項目ラムサール条約

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世界大百科事典(旧版)内の野付半島の言及

【野付崎】より

…先端が複雑に分かれた典型的な分岐砂嘴で,基部から先端まで約28km,最狭部の幅130m,標高6m以下。野付半島ともいい,先端部が狭義の野付崎である。標津(しべつ)市街地の南方から南東方向に延び,灯台のある竜神崎から西方向に屈曲して尾岱沼(おだいとう)(野付湾)を抱き,湾内に12ヵ所の分枝を突き出している。…

※「野付半島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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