尾岱沼(読み)おだいとう

日本歴史地名大系 「尾岱沼」の解説

尾岱沼
おだいとう

野付のつけ湾に面した海岸当幌とうほろ川と春別しゆんべつ川の間の地名。「蝦夷日誌」(一編)には「ヲタヱト」とあり、「小川有る也。砂浜伝ひ」と記される。また野付湾の別称でもある。野付湾については「蝦夷巡覧筆記」には「此処ノ入海奥ノ方ニ小島所々ニ有」と記されているが、「東蝦夷地場所大概書」をはじめとして、湖沼を意味するアイヌ語であるトウ(ト)を付けて「ノツケトウ」と記されることが多い。「東行漫筆」には「ニシヘツよりノツケ迄之間大沼有之」(文化六年四月晦日条)、「観国録」には「川幅漸次ニ広ク行クコト十四五丁ニシテ忽チ明豁ナル湖中ニ入ル。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「尾岱沼」の意味・わかりやすい解説

尾岱沼 (おだいとう)

北海道東部,根室支庁にある分岐砂嘴(ぶんきさし),野付崎に抱かれた野付湾のことをいう。冬季白鳥の飛来地として知られ,春別川河口付近を中心に飛来するオオハクチョウは1万羽に達する。湾西岸にある別海町の漁業集落の尾岱沼は沿岸沖合漁業基地で,湾内のエビ打瀬網,カレイ刺網,湾外のホタテガイ・イカ漁などが行われる。夏から秋にかけて三角帆の打瀬舟によるエビ漁が行われる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「尾岱沼」の意味・わかりやすい解説

尾岱沼
おだいとう

北海道東部、別海町(べつかいちょう)の野付湾(のつけわん)に臨む地区漁港青少年旅行村がある。また、野付崎に囲まれた野付湾をさす場合もある。11月なかばに集落の南方、白鳥台付近の海岸にオオハクチョウの大群が飛来する。野付崎にはトドマツが立ち枯れた風景奇観を呈するトドワラがあり、尾岱沼港とトドワラの間は夏期に観光船が連絡している。

[古川史郎]


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世界大百科事典(旧版)内の尾岱沼の言及

【野付崎】より

…野付半島ともいい,先端部が狭義の野付崎である。標津(しべつ)市街地の南方から南東方向に延び,灯台のある竜神崎から西方向に屈曲して尾岱沼(おだいとう)(野付湾)を抱き,湾内に12ヵ所の分枝を突き出している。湾側にミズナラ,ダケカンバの森,竜神崎付近にセンダイハギ,ワタスゲの群落がみられるが,大半は草原か湿原で,ところどころにエゾマツやトドマツの立枯れがある荒涼たる景観を呈する。…

※「尾岱沼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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