コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

利他主義 りたしゅぎaltruism

翻訳|altruism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

利他主義
りたしゅぎ
altruism

行為の目的を他人に対する善におく倫理学上の一学説であり,一般に利己主義 (→自我主義 ) と対照される。この言葉は A.コントによって採用されたが,ある意味では東西の主たる倫理観はこの利他主義を内包しているといえる。この「善」の基準を何に求めるかによって利他主義もいろいろと区別される。それをそれ自身多様な解釈を許す「快楽」に求めるとすれば,功利主義となり,人格という視点に立てば人格主義に結びつく可能性もある。この意味で利他主義は,一義的には決定しがたい幅広い思索を含んだ倫理学説であるといえる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

りた‐しゅぎ【利他主義】

利己主義に対して、他人の幸福や利益を図ることをまず第一とする考え方

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典 第2版の解説

りたしゅぎ【利他主義 altruism】

原語は〈他者〉を意味するラテン語のalterにさかのぼり,コントに由来し,エゴイズムないし利己主義に対して用いられた。訳語は明治10年代以来で〈愛他心〉とも訳されており,40年代以降には〈愛他説〉〈愛他主義〉〈主他主義〉とも訳された。コントによれば,実証的精神が人類に広まるなら新しい道徳的秩序が生じる。権利を重んじる従来の道徳は利己主義に指導された純粋に個人的な道徳であり,ただ自己の救済にのみ関心を抱き,個人中心的な思考に基づく神学的・形而上学的精神にふさわしい道徳であった。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

りたしゅぎ【利他主義】

自分を犠牲にしても他人の利益を図る態度・考え方。愛他主義。 ⇔ 利己主義
〘哲〙 〔altruism〕 他人の福祉の増進を道徳の基礎とする主義。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

利他主義
りたしゅぎ
altruism英語
Altruismusドイツ語
altruismeフランス語

他人が追求する善(利益)を行動の義務、正しさの基準と考える立場で、倫理的利己主義(エゴイズム)、そして部分的には功利主義と対立する。愛他主義ともいう。インド・ヨーロッパ語の語源altruismはコントが使い始めて定着したといわれる。利他主義は理論上、義務論の形もとりうるが、実際には目的論の一形態となる。宗教上の掟(おきて)にその主張がみられ、推奨されることが多いが、利己主義と違って、その純粋な学説形態は発見しにくい。イギリス道徳感覚学派、功利主義、その他の多くの立場は部分的に利他主義を含むが、事実上の人間の利己的傾向は否定できないから、極端な利他主義は独断となる。さらに、各人が自分のことをまったく考えず、他人のためばかりを考えれば、自己完成の努力を怠り、また他人に深情けをかけることになって、かえって迷惑を及ぼすことにもなるから、規範的にも普遍的格率とはなりにくい。[杖下隆英]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の利他主義の言及

【利他的行動】より

…利他行為ともいう。一般には,人間が他人の苦境にさいして労力的・経済的・精神的などの援助をする行為(利他主義)も含むが,社会生物学ないし行動生態学では特別な概念として用いられている。すなわち,自分の残す子孫の数が減るにもかかわらず,他個体の生存を助け,その子孫を増やしてやるような行為をいう。…

※「利他主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

利他主義の関連キーワード哲学の人間学的原理オルトルイズム利他的行動快楽主義小乗仏教リップス他愛主義河上肇増進

今日のキーワード

だまし面接

企業が面談や懇談会と称して就職活動中の学生を呼び出し、実質的には学生を選考する偽装面接のこと。2016年卒業の大学生に対する選考活動の開始時期を、従来の4月1日から8月1日以降へと後ろ倒しする主旨の「...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

利他主義の関連情報