デジタル大辞泉
「利益相反行為」の意味・読み・例文・類語
りえきそうはん‐こうい〔リエキサウハンカウヰ〕【利益相反行為】
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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利益相反行為
りえきそうはんこうい
当事者の間で利益が相反する行為。民法はそれぞれの利益を守るために,一方が他方を代理したり(自己契約),一人が双方を代理すること(双方代理)を禁止しているが(108条),さらに民法およびその特別法は,一定の代理権をもつ者と代理される者との間で利益が相反する行為を行なう場合について,代理される者のために新たに特別代理人を選任しなければならない旨を定めている。たとえば,親権者と子(826条1項),後見人と被後見人(860条),理事と法人(一般法人法84)の場合がこれにあたる。また,同じ親権に服する子相互間の場合には,一方の子のために特別代理人を選任しなければならず(826条2項),保佐人と被保佐人(→保佐)の場合にも臨時保佐人を選任しなければならない(876条の2第3項)。同様の趣旨の規定は会社法にもあり,取締役による自己取引(356条),株式会社と取締役との間の訴えにおける会社の代表(353条),社員の自己契約(595条)に関するものがあげられる。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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利益相反行為 (りえきそうはんこうい)
法人と理事,子と親権者,被後見人と後見人,準禁治産者と保佐人など,両当事者の間でそれぞれ利益が相反する法律行為をいう。たとえば,法人と理事個人との間の売買,子と親権者がともに相続人である場合の遺産分割,被後見人を後見人の負担する債務の保証人とする契約などがこれにあたる。このような場合,もし理事・親権者・後見人による代理を認めると本人の利益が害されるおそれがある。本人が行おうとする行為に対して親権者・後見人・保佐人として同意するか否かを決める場合についても同様である。そこで民法は,利益相反行為については理事等の代理権・同意権を否定し,裁判所の選任する特別代理人または臨時保佐人が本人を代理し,または同意すべきものと定めている(民法57条,826条,847条2項,860条)。この手続を経ずに行われた行為は,代理の場合は無権代理となり,同意の場合は取り消しうべき行為となる。
執筆者:阿部 徹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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