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法人と理事,子と親権者,被後見人と後見人,準禁治産者と保佐人など,両当事者の間でそれぞれ利益が相反する法律行為をいう。たとえば,法人と理事個人との間の売買,子と親権者がともに相続人である場合の遺産分割,被後見人を後見人の負担する債務の保証人とする契約などがこれにあたる。このような場合,もし理事・親権者・後見人による代理を認めると本人の利益が害されるおそれがある。本人が行おうとする行為に対して親権者・後見人・保佐人として同意するか否かを決める場合についても同様である。そこで民法は,利益相反行為については理事等の代理権・同意権を否定し,裁判所の選任する特別代理人または臨時保佐人が本人を代理し,または同意すべきものと定めている(民法57条,826条,847条2項,860条)。この手続を経ずに行われた行為は,代理の場合は無権代理となり,同意の場合は取り消しうべき行為となる。
執筆者:阿部 徹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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