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前帯 まえおび

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

前帯
まえおび

結び目を前にした帯の締め方。本来帯は細い紐帯で前結びが一般的であったが,のち帯幅が広がるにつれてうしろで結ぶようになった。江戸時代に入ると,娘はうしろ帯にするようになり,前帯は既婚女性の象徴となったが,前帯では家事仕事の際に不便なため,のちには既婚女性でもうしろ帯になっていった。しかし現在でも儀式の際などには前結びをする風習が地方によって残っており,岐阜県高山市では喪主の妻は前帯にするし,佐賀県の一部にはゴケオビといって,夫が死ぬと妻は3日間前帯にする。また地方によっては花嫁が婚礼には前帯にすることや,嫁を迎えると姑が前帯にする習慣の残っているところもある。

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デジタル大辞泉の解説

まえ‐おび〔まへ‐〕【前帯】

帯を前で結ぶこと。また、その帯。江戸時代、既婚の女性などが多く用いた。前結び。→後ろ帯
近世の上方で、まゆをそり、歯を黒く染めた年増(としま)。
「女郎も若きは気に入らず、―こなすと自慢顔」〈洒・遊客年々考〉

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百科事典マイペディアの解説

前帯【まえおび】

帯の結び目を前にした締め方。もと帯は紐(ひも)状であり,前で結ぶのが自然の締め方であった。しかし江戸時代に入って帯幅が広くなり帯付姿が流行するようになると,いつか元服前の娘は後ろ結びにし,前帯は鉄漿(かね),留袖(とめそで)とともに主婦の象徴になった。

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世界大百科事典 第2版の解説

まえおび【前帯】

帯の結び目を前にした締め方。江戸時代には鉄漿(かね),留袖(とめそで)とともに,前帯は主婦であることの象徴であった。もともと帯は紐状の帯紐で,前に結ぶのが自然の締め方であった。しかし室町時代のころから公家や武家の女たちが袴をはかないようになり,それにつれて着物の袖や身丈(みたけ)が長くなるにしたがって,帯の幅も広くなり,いまのような帯付姿が流行するようになった。当初の帯の締め方は結び目が一定せず,前,後ろ,横さまざまであったが,元禄(1688‐1704)ころから着物の袖や帯の締め方により未・既婚の区別が生ずるようになった。

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大辞林 第三版の解説

まえおび【前帯】

帯を前で結ぶこと。また、前で結んだ帯。近世、元服後、多くは既婚の女性の風俗。のち、遊女の風俗となった。かかえ帯。 ↔ 後ろ帯

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

前帯
まえおび

前結びの帯をいう。後ろ結びを後ろ帯といい、元服前の結び方で娘の代名詞となっていた。これに対して前帯、横で結ぶ横帯は元服後か既婚者の結び方で、成人した女子を表すことばに用いられた。前帯は江戸時代後期には、30歳までは家では後ろ帯、外出に前帯であったが、その後60歳以上の女性だけが前帯をするようになった。遊里では前帯を用いていた。前帯は仕事をするとき結び目がじゃまになり、仕事がしにくい、女性の後ろ姿が単純過ぎて美的要素に欠けるなどの理由で用いられなくなった。明治以降、前帯は都会にはみられなくなり、現在は全国的にほとんど後ろ帯になっている。[藤本やす]

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世界大百科事典内の前帯の言及

【帯】より

…結び方も吉弥結び,水木結び,かるた結び,はさみ結び,ひっかけ結び,御所結びなどの種類があり,帯の締め方も前結びと後結びとがあった。前結びは前帯ともいわれ,おもに既婚者が結んだところから,主婦の代名詞にもされたが,それに対して後帯は少女の姿を意味していた。 1丈2尺に9寸幅というのは,ほぼ享保(1716‐36)以後,帯の基準となり,結び方もさらに種類が増えていった結果,帯が女装美の中心となり,ここに独特の和装の美が生まれることになったのである。…

※「前帯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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