前頭葉(読み)ぜんとうよう

日本大百科全書(ニッポニカ)「前頭葉」の解説

前頭葉
ぜんとうよう

大脳皮質の中心より前の部分で、第一次運動野(4野)、運動前野(6野)、前頭前野(9、10、11野)、眼窩(がんか)野(12、13、14野)等がある。ヒトでもっともよく発達し、大脳皮質全体の3分の1を占める。第一次運動野と運動前野は随意運動に関与しているが、前頭前野は、注意、思考、意欲、情操の「座」となっている。前頭前野が障害されると、注意を集中することができなくなったり、ある一つの動作のみを繰り返し、別の動作に変えることがむずかしくなったりする(これを固執傾向という)。また、自発行動が減り、自分や周囲に対して無関心となる。なお、左半球には、ことばをしゃべるのに必要な運動性言語中枢(44、45野)があり、ここが障害されると発声はできても話すことができなくなる。

 ポジトロンCT(陽電子を用いたCTの一検査法)を用いた脳の研究により、前頭は、その部位によって異なる機能を営んでいることがわかってきた。今後はさらに技術的な進歩とともに、前頭葉の機能局在に関しての詳しいデータが出されてくることであろう。

[鳥居鎮夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典「前頭葉」の解説

ぜんとう‐よう ‥エフ【前頭葉】

〘名〙 大脳半球の一部で、中心溝より前方にある部分。哺乳動物の高等なものほどよく発達し、特にヒトに著しい。高等な精神作用を営む場所とされ、特に前端部は創造行為を営む精神の座とされる。
※随筆寄席(1954)〈辰野・林・徳川〉二「脳の前頭葉を切ることを」

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