劣る(読み)オトル

デジタル大辞泉 「劣る」の意味・読み・例文・類語

おと・る【劣る】

[動ラ五(四)]
価値能力・質・数量などが、他に比べて程度の低い状態にある。引けを取る。「技量数段―・る」⇔勝る
(「…におとらず」の形で)…と同じように。「今日も昨日に―・らず暑い」
身分階級などが下である。
「―・りたる人の、ゐずまひもかしこまりたるけしきにて」〈・一四六〉
年齢が下である。年月が後である。
「年、我より少し―・りたるをば弟の如く哀れび」〈今昔・五・一三〉
減る。損をする。
まさる所無くして、―・りつひゆる極めて甚し」〈皇極紀〉
[類語]後れる負ける輸する見劣りする引けを取る一籌いっちゅうを輸する遅れを取る不利不利益不為ふため不得策不都合劣勢守勢分が悪い

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「劣る」の意味・読み・例文・類語

おと・る【劣・減】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. [ 一 ] 数量、利益・価値などが減少する。損をする。費える。⇔まさる
    1. [初出の実例]「都鄙の人、常世の虫を取りて、清座(しきゐ)に置きて、歌ひ儛ひて、福を求めて珍財(たから)棄捨(す)つ。都(かつ)て益(ま)す所無くして、損費(オトリつひ)ゆること極めて甚し」(出典:日本書紀(720)皇極三年七月(岩崎本訓))
  3. [ 二 ] 他とくらべて価値、数量などが及ばない。⇔まさる
    1. 価値、力量などがさがる。ひけをとる。負ける。
      1. [初出の実例]「拙劣(をぢな)きや われに於止礼(オトレ)る 人を多み」(出典:仏足石歌(753頃))
    2. 身分、位などが低い。
      1. [初出の実例]「碁を、やむごとなき人のうつとて、紐うち解き、ないがしろなるけしきに拾ひ置くに、おとりたる人の、ゐずまひもかしこまりたるけしきにて」(出典:枕草子(10C終)一四六)
    3. ( 多く打消しを伴って ) ある数、単位などに及ばない状態である。
      1. [初出の実例]「京鎌倉のをりのぼりにも五十騎百騎にはをとらず」(出典:幸若・十番斬(室町末‐近世初))
    4. 年月がおくれる。年が下である。
      1. [初出の実例]「前のは壬申なり。第二のは癸酉なり。一年教(オトレ)り」(出典:百法顕幽抄平安中期点(900頃))

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