京都市北山地方の民間で生産される特殊な杉材。室町時代から北山磨丸太(みがきまるた)の名で知られ,台杉丸太とも北山丸太とも称された。京都に近接する北山地方の杉植伐林業は1000年以上の歴史をもつといわれるが,台杉林業,すなわち1本の杉台木(台杉=株木)から数本の通直な幹を育て,下から順次枝を払って節をなくし,目的に合ったものから抜き伐り,磨いて利用する〈磨丸太〉の技法は,応永年間(1394-1428)に始まると伝えられる。この台杉丸太が著名になるのは〈茶の湯〉の流行につれて,茶室建築の発達する室町中期以後であるが,そのころから産地では普通丸太(北山丸太,白杉丸太)と垂木丸太(カイフともいう)の別を生じるようになり,前者はおもに茶室・書院の柱や桁に,後者は軒先の垂木や天井縁に用いられた。この両者とも近世の城郭や邸宅内に設けられる書院・茶室には重用され,その後は普通住宅の柱などにも多く使用されるようになった。
執筆者:所 三男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域ブランド・名産品」事典 日本の地域ブランド・名産品について 情報
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