曲線で囲まれた平面図形の面積Sの求め方を考えてみよう(図1)。まず,図形を内部に含む一つの正方形を描き,この正方形の縦,横をそれぞれn等分して方眼を描く。このとき,図形の内部に完全に含まれるすべての小正方形の面積の和をsn,図形と共通点があるようなすべての小正方形の面積の和をSnとすると,sn<S<Snである。ここでnをしだいに大きくして正方形の分割を細かくしていくと,snはしだいに増大し,Snはしだいに減少して,それぞれ図形の内側と外側からSをより精密に近似する。そして,nを限りなく大きくしたときの極限値,とが一致するならば,その値が求める図形の面積Sに等しいはずである。
このように,与えられた図形の面積や体積を求めるのに,(1)微小な基本図形の集りを作って,その図形を近似する図形を考え,(2)その近似図形の面積や体積の極限値を計算する,という方法がある。このような計算法を区分求積法という。
例として,座標平面上の放物線y=x2とx軸と直線x=1とで囲まれた部分の面積Sを求めてみよう(図2,3)。
区間0≦x≦1をn等分すると,各小区間の長さは1/nである。h=1/nとおくと,各小区間の左端に対応する放物線上の点yの値は,左から0,h2,(2h)2,……,{(n-1)h}2であるから,図2において灰色部分の面積snは,
同様にして,図3の灰色部分の面積Snは,
したがって,となるから,求める面積,である。一般に,いくつかの滑らかな曲線で囲まれた平面図形や,いくつかの滑らかな曲面で囲まれた立体図形に対しては,内部から近似した図形と外部から近似した図形の面積や体積は,極限において一致することが知られている。
関数y=f(x)のグラフが区間a≦x≦bにおいて一つの連続曲線であり,この区間ではf(x)>0であるとき,上の例y=x2の場合と同様にして,曲線y=f(x)とx軸および2直線x=a,x=bで囲まれた部分の面積Sを求めることができる。このSの値を,記号で表し,関数f(x)のaからbまでの定積分という。個々の具体的な関数f(x)に対して上記の面積Sを求めるには,区分求積法によるよりも原始関数を用いるのがふつうであるが,考察の基礎としての区分求積法の考え方は重要である。
→積分
執筆者:伊藤 清三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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