日本大百科全書(ニッポニカ) 「十二夜」の意味・わかりやすい解説
十二夜
じゅうにや
Twelfth Night
イギリスの劇作家シェークスピアの五幕喜劇。ロンドンのミドル・テンプルの学生ジョン・マニンガムが1602年2月2日に観劇したのがもっとも古い記録であるが、おそらく1601年1月6日(陰暦十二夜)に宮廷で初演されたものであろう。1623年出版。主筋はイタリア喜劇から取材している。すなわち、双生児の兄妹セバスチャンとバイオラは難船で別れ別れとなり、バイオラは男装してイリリア公オーシーノーの小姓となり、公が片思いのオリビア姫のもとに恋文を届けることを命じられるが、姫は彼女を男と思い込んで恋してしまう。やがてセバスチャンが現れるが、妹と瓜(うり)二つのため誤って彼と結婚する。しかし最後はバイオラが女であることがわかり、すべての間違いは解決し、彼女はひそかに恋したオーシーノーと結婚する。脇(わき)筋は、オリビア邸の謹厳ぶったうぬぼれ屋の執事マルボーリオを偽りの恋文でからかう陽気な喜劇となっている。
[小津次郎]
『『十二夜』(菅泰男訳・新潮文庫/小津次郎訳・岩波文庫/福原麟太郎・大山敏子訳・角川文庫)』