千僧供養(読み)センソウクヨウ

デジタル大辞泉 「千僧供養」の意味・読み・例文・類語

せんそう‐くよう〔‐クヤウ〕【千僧供養】

千人の僧を招いて食を供し、法会を営むこと。特に中国南北朝時代から流行日本では孝徳天皇以来盛んに行われた。千僧会

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精選版 日本国語大辞典 「千僧供養」の意味・読み・例文・類語

せんそう‐くよう‥クヤウ【千僧供養】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「せんぞうくよう」とも )
  2. せんそうえ(千僧会)
    1. [初出の実例]「又有千僧供養、是為東西凶乱也」(出典日本紀略‐天暦元年(947)三月二八日)
  3. ( 供養の功徳が著しい意から ) すぐに成ること。たやすくできること。
    1. [初出の実例]「これは近頃ありがた山。それぐらいの価は、親方の目を一ぬきぬくと、千ぞうくやうさ」(出典:黄表紙・高漫斉行脚日記(1776)上)

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改訂新版 世界大百科事典 「千僧供養」の意味・わかりやすい解説

千僧供養 (せんそうくよう)

1000人の僧に供養すること。供養とは,仏法僧の三宝や父母師長故人に食物や衣服を供給すること。千僧会ともいう。多くの場合,供養に先立ち読経などが行われて,これを千僧読経といい,このあと出席読経した僧に供養が行われる。その功徳は無量であると信じられていた。946年(天慶9)朱雀上皇が東西の凶乱を鎮めるため,延暦寺講堂において法会を行った後,千僧に供養したのが早い例で,疫病流行のときなどにも行われた。供養の内容も明らかではないが,北条政子発起の供養では,金品を納めた包物1と絹1疋(ぴき)と3斗入り袋米1で,《源平盛衰記》には,手作の布1段,供米(くまい)1袋とある。莫大な費用を必要としたから,史上これを行いえた者は,白河上皇鳥羽上皇,後白河上皇,平清盛,北条政子,豊臣秀吉ら権力者であった。秀吉の京都方広寺での千僧供養への出席の可否をめぐり,日蓮宗は不受不施派と受不施派に分裂していった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「千僧供養」の意味・わかりやすい解説

千僧供養
せんそうくよう

「せんぞうくよう」とも読む。多数の僧侶(そうりょ)が招かれて『法華経(ほけきょう)』などを読誦(どくじゅ)する法要をいう。千僧会(せんそうえ)、千僧供(く)ともいう。インド、中国で行われ、日本でも古くから営まれており、平安時代ごろより盛んとなる。朱雀(すざく)上皇は947年(天暦1)に延暦(えんりゃく)寺講堂において、凶乱を救うという目的のもとに行い、平清盛(きよもり)も1169年(嘉応1)に福原(ふくはら)で催している。鎌倉時代の1220年(承久2)には彗星(すいせい)による不吉を除くために延暦寺根本中堂(こんぽんちゅうどう)において千僧の読経が行われている。豊臣(とよとみ)秀吉もまた、1595年(文禄4)方広(ほうこう)寺大仏の経堂において真言(しんごん)宗、天台宗など八宗から800人の僧侶を招き、父母の供養のための大法要を開催し、それ以降もたびたび行っている。

[廣瀬良弘]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「千僧供養」の意味・わかりやすい解説

千僧供養
せんそうくよう

仏教行事。千僧斎,千僧会ともいう。 1000人の僧を招いて,斎 (とき) を供養することで,その功徳は莫大といわれている。

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世界大百科事典(旧版)内の千僧供養の言及

【寺事】より

…通常数人から20人前後の僧侶によって一座(座は法要の数を表現する数詞)の法要が勤修されるが,盛儀になると100人,200人,場合によっては300人前後が出仕することもある。古くは千僧供養,万僧供養と称して多数の僧侶が出仕し,数による功徳を願うこともあり,単に盛儀というにとどまらず,呪的な意味合いもこめられていた。1日限りで完了する小規模で日常的な寺事の場合,法要も一座で完結することが多いが,大規模になると,1日に五座,六座の法要を勤修する場合もある。…

※「千僧供養」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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