千早赤阪(読み)ちはやあかさか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「千早赤阪」の意味・わかりやすい解説

千早赤阪(村)
ちはやあかさか

大阪府南東端、南河内郡(みなみかわちぐん)にある府下唯一の村。東部金剛(こんごう)山地で、千早川やその支流の河谷に耕地があるが、大部分スギヒノキに覆われた山村。国道309号(富田林(とんだばやし)街道)が通じ、近畿日本鉄道富田林駅、近畿日本鉄道・南海電気鉄道河内長野駅からのバスの便がある。中世、南朝方の楠木(くすのき)氏の本拠で、当時の史跡が多い。千早城跡、楠木城跡(上赤阪城跡)、赤阪城跡は国指定史跡。建水分神社(たけみくまりじんじゃ)本殿は国指定重要文化財。ミカン・シイタケ栽培やキュウリ・ナスの抑制栽培のほか、木材産出がある。東部と南部は金剛生駒紀泉国定公園(こんごういこまきせんこくていこうえん)域で、金剛山(1125メートル)登山には村営ロープウェーがある。面積37.30平方キロメートル、人口4909(2020)。

[位野木壽一]

『『千早赤阪村誌』全2巻(1976、1980・千早赤阪村)』


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百科事典マイペディア 「千早赤阪」の意味・わかりやすい解説

千早赤阪[村]【ちはやあかさか】

大阪府南東端,南河内郡の村。千早川の上流域にあたり,東の金剛山地は奈良県との境をなす。山林大半を占め林業が行われるほか,温暖な気候を利用してミカンも産する。南北朝時代の武将として名高い楠木正成生誕の地として知られ,ゆかりの史跡として北部には平山城赤坂城跡,南部には本格的山城千早城跡が残り,毎年4月には楠公祭も行われる。豊かな自然に恵まれ,葛城山金剛山は大阪近郊の手軽な山歩きの好適地としてハイカーを集めており,このうち金剛山へは麓からロープウェイが通じる。国道309号が通じ,西は富田林市へ,東は金剛山地を水越トンネルで穿ち御所市へ至る。37.30km2。6015人(2010)。

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改訂新版 世界大百科事典 「千早赤阪」の意味・わかりやすい解説

千早赤阪[村] (ちはやあかさか)

大阪府南東端,南河内郡の村。人口6015(2010)。金剛山の西斜面を占める農山村で,村域の大半を山林が占め,杉やヒノキの良材を産出する。傾斜地におけるミカン栽培が盛んで,千早川,水越川沿いでは米作が行われる。かつては高野豆腐の生産が盛んであったが,現在は衰えた。鎌倉末期から南北朝期に活躍した楠木一族ゆかりの史跡が多く,南朝方の拠点となった千早城赤坂城の跡があり,国の史跡に指定されている。水の神として知られる建水分(たけみくまり)神社もあり,本殿は重要文化財になっている。
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