ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「南アフリカ文学」の意味・わかりやすい解説
南アフリカ文学
みなみアフリカぶんがく
South African literature
その後,アパルトヘイトの強化とともに人種問題を扱う作品が多くなる。ボーア人(アフリカーナー)の侵入期を描く歴史小説『野蛮な征服』Wild Conquest(1950)で知られるピーター・エイブラハムズ,アパルトヘイトに対する抵抗小説を多数書いたアレックス・ラ・グーマ,自伝小説の傑作『わが苦悩の町2番通り――アパルトヘイト下の魂の記録』Down Second Avenue(1959)のエスキア・ムパシェーレのほか,デニス・ブルータス,マジシ・クネーネらの詩人がいた。彼らの多くが亡命した。1976年のソウェト蜂起前後からは,シポ・セパムラ,モンガーン・ウォリー・セローテ,ジャブロ・ンデベレらが活躍,亡命作家とは異なる視点から社会問題を鋭くえぐった。女性作家では,ボツワナへ亡命したベッシー・ヘッド,ロレタ・ンゴボ,ミリアム・トラーディ,シンディウェ・マゴナ,ゾイ・ウィカム,チナ・ムショーペらが知られる。彼女たちの作品の多くはジェンダーの視点が貫かれている。このほか『農場物語』(1883)を書いたオリーブ・シュライナーからノーベル文学賞受賞作家のナディン・ゴーディマへと続く白人女性作家の文学伝統,アンドレ・ブリンク,ブレイテン・ブレイテンバッハを代表格とするアフリカーナーによるアフリカーンス語による文学伝統も無視できない。(→アフリカ文学)
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報