南殿(読み)ナデン

デジタル大辞泉 「南殿」の意味・読み・例文・類語

な‐でん【南殿】

《「なんでん」の撥音の無表記》紫宸殿ししんでん異称内裏南側中央に位置しているのでいう。
サトザクラの一品種。葉の裏面に毛が密にある。花は八重または半八重で淡紅色

なん‐でん【南殿】

南向き御殿南方にある殿舎
紫宸殿ししんでんの異称。なでん。

みなみ‐どの【南殿】

南向きの殿舎。正殿。みなみおもて。
六波羅探題のこと。→六波羅探題

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精選版 日本国語大辞典 「南殿」の意味・読み・例文・類語

な‐でん【南殿】

  1. [ 1 ] ( 「なんでん」の「ん」の無表記 ) 「ししんでん(紫宸殿)」の別称
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙
    1. バラ科の落葉小高木。サクラの一種で、サトザクラとチョウジザクラ雑種またはオオヤマザクラの改良種と考えられている。野生はなく観賞用に栽植される。幹は九メートルぐらいになる。葉は倒卵形で長さ五~一〇センチメートル。両面に軟毛を密生する。四月中・下旬、葉とおよそ同時に開花する。花は淡紅紫色、径三~四センチメートルの半八重咲きで、花弁は一〇枚ぐらい。むしゃざくら。ちゃわんざくら。《 季語・春 》
    2. サクラの園芸品種の一つ。花は白色で径四センチメートルぐらい。半八重咲きで花弁は一〇枚ぐらい。芽は茶色。おおなでん。

南殿の補助注記

漢字表記の用例はすべて「なんでん(南殿)」として扱った。


なん‐でん【南殿】

  1. [ 1 ] 南向きの御殿。南方にある殿舎。
    1. [初出の実例]「このえ給へる殿は〈略〉この南殿は中納言の君なん給はり給へるちかどなりにて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲中)
    2. [その他の文献]〔北史‐斉彭城王伝〕
  2. [ 2 ]ししんでん(紫宸殿)」の別称。なでん。〔二十巻本和名抄(934頃)〕

みなみ‐どの【南殿】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 南向きの殿舎。正殿。
    1. [初出の実例]「年頃造りみがかせ給つる御仏、南どのより渡し奉らせ給」(出典:栄花物語(1028‐92頃)鳥の舞)
  3. 鎌倉時代幕府が京都六波羅に置いた北・南両探題うちの南の探題。南方。

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改訂新版 世界大百科事典 「南殿」の意味・わかりやすい解説

南殿 (なでん)

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動植物名よみかた辞典 普及版 「南殿」の解説

南殿 (ナデン)

学名:Prunus sieboldii
植物。バラ科の落葉小高木

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の南殿の言及

【紫宸殿】より

…〈ししいでん〉とも読む。内裏の南部分にある第1の御殿で,南殿(なでん),南大殿,前殿,正寝,正殿ともいう。はじめは節会,季御読経(きのみどきよう),立后,立太子,天皇元服等の通常の公事が行われたが,大極殿(だいごくでん)の廃亡とともに即位や大嘗会(だいじようえ),朝賀等重要な儀式も行われるようになった。…

※「南殿」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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