卯槌(読み)ウヅチ

デジタル大辞泉 「卯槌」の意味・読み・例文・類語

う‐づち【××槌】

平安時代、正月初の卯の日に中務なかつかさ糸所いとどころから邪気払いとして朝廷に奉った槌。桃の木を長さ3寸(約9センチ)、幅1寸四方直方体に切ったもので、縦に穴をあけ、5色の飾り糸を5尺(約1.5メートル)ばかり垂らし、室内にかけた。

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精選版 日本国語大辞典 「卯槌」の意味・読み・例文・類語

う‐づち【卯槌】

  1. 〘 名詞 〙 中古、正月初の卯の日に糸所(いとどころ)および六衛府から、内裏に邪気払いとして奉った槌。卯杖変形したもので普通桃の木を用い、長さ三寸(約一〇センチメートル)、幅一寸(約三センチメートル)四方の直方体を作り、縦に穴をあけ、一〇本ないし一五本の五色の組糸を五尺(約一・五メートル)ばかり垂らしたもの。円形のものもあった。内裏では昼御座(ひのおまし)西南の角の柱にかける。中国漢代の剛卯(ごうぼう)をまねた風習民間でも行なわれ、江戸時代には初卯詣でにそのつくりものが売られた。《 季語新年
    1. 卯槌
      卯槌
    2. [初出の実例]「御文あけさせ給へれば、五寸ばかりなるうづちふたつを、卯杖のさまに頭などをつつみて」(出典:枕草子(10C終)八七)

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百科事典マイペディア 「卯槌」の意味・わかりやすい解説

卯槌【うづち】

卯杖(うづえ)の変形であるともいう。桃の木で作り,五色の糸をたれ天皇の〈昼御座(ひのおまし)〉の西南にかけた。卯槌の行事神事にするところもあり,江戸亀戸(かめいど)天神境内の妙義社では卯杖に卯槌をつけて売った。

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世界大百科事典(旧版)内の卯槌の言及

【卯杖】より

鷽(うそ)替えのウソの起源を卯杖に求める説もある。なお,薬玉に似た卯槌は卯杖の変形とみられ,内裏で邪気ばらいに使われた。【蛸島 直】。…

※「卯槌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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