浄土真宗、本願寺中興の祖といわれる第8世蓮如(れんにょ)(1415―99)が、門徒教化のため発給した消息(しょうそく)(手紙)形式の法語。『御文章(ごぶんしょう)』『宝章(ほうしょう)』ともいう(普通、大谷派では『御文』、本願寺派では『御文章』という)。蓮如の孫円如(えんにょ)(1491―1521)が80通を選び、本願寺10世証如(しょうにょ)が初めてこれを版に付した。『御文』は普通、調製の形式から『五帖(ごじょう)御文』とよばれるが、のちに「五帖」に漏れたものを集め、それを『帖外御文』とよんでいる。蓮如以降に『御文』は、門徒教化の基本的な素材となってきたため、『御文』に関する研究書、講録はきわめて多い。なお、『御文』は法語として蓮如の思想を示すとともに、一向一揆(いっこういっき)初期の政治関係史料としても貴重である。
[北西 弘]
『稲葉昌丸編『蓮如上人遺文』(1936・法蔵館)』▽『笠原一男・井上鋭夫校注『日本思想大系17 蓮如・一向一揆』(1972・岩波書店)』
本願寺8世の蓮如(れんにょ)が書簡のかたちで残した真宗の教義を集成したもの。東本願寺(大谷派)では御文(おふみ),西本願寺(本願寺派)では御文章(ごぶんしょう)という。基本的には1521年(大永元)に蓮如の孫円如(えんにょ)が,1461~98年(寛正2~明応7)の約260通の書簡から選録した5帖80通をさす。これにもれたものを追加編集したものは帖外御文という。15世紀後半の門徒教化(きょうけ)の方法や信仰の具体的なありかたが知られる。
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…生涯に子どもは13男14女の多きにおよんだ。 蓮如の布教は,教義を仮名でわかりやすく説いた《御文(おふみ)(御文章(ごぶんしよう))》(《蓮如仮名法語》)を中心に行われた。これは消息として各地の門徒に書き送られたものであるが,のち蓮如の孫円如がこれを収集してまとめた。…
…本願寺第8世蓮如が,真宗の教義を平易な文体でかな書きにした法語をいう。消息,御書,宝章,勧文,勧章ともいわれ,東本願寺では〈御文(おふみ)〉といい,西本願寺では〈御文章(ごぶんしよう)〉の雅称で呼んでいる。蓮如が〈千の物を百にゑり,百のものを十にゑり,十のものを一にゑりすぐりて〉,教義の要をわかりやすく説いたのが〈御文〉で,いずれも書簡文の形式をとった一紙法語である。…
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